2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2009年6月2日

 また、この間の鋼材や発電機器など資機材の高騰によって建築費もキロ・ワット当たり30万円弱と、倍近くに膨れ上がっている。さらに風力発電には秒速6メートル以上の順風が最適だが、「日本の風土は台風の来襲など気候的にもいま一つ」(上田主席技師)で、設備利用率は2割を下回っているとみられることも理由である。

 そのため、事業者も対応を迫られている。一つが大手事業者による積極的な海外展開であり、もう一つが集約化による業界再編の動きだ。

 東京電力と豊田通商の合弁による業界最大手のユーラスエナジーホールディングスは総発電容量182万キロワットのうち、米国が524000キロワット、欧州が726000キロワットと、3分の2以上が海外プロジェクト。祓川社長は「旧トーメンの風力事業をルーツとする当社にとって、日米欧3極でのバランスある事業展開が基本。近い将来、設備容量300万キロワットを目指しているが、これからも良い現地パートナーと組んで海外事業にも力を入れる」と話す。業界2番手の電源開発(Jパワー)も昨年9月、三井物産などと共同でポーランドに出力48000キロワットのプラントを運開させている。

 業界再編の動きも顕著だ。ユーラスエナジージャパンは昨年、豊田通商から大豆田(青森県)、田代平(秋田県)、IPPジャパンから里美牧場(茨城県)の、合わせて3発電所を買収。またJパワーが、丸紅から南大隅ウインドファーム(鹿児島県)など3カ所、日本風力開発も双日から北海道・えりも町のプラントを買収、戦列に加えた。

 さらに荏原製作所が筆頭株主のエコ・パワーも、荏原が環境・エネルギー事業の縮小を打ち出していることから「大手事業者に売却される可能性が高い」(業界筋)とみられているなど、小規模事業者やプラントを中心に大手に集約される見方が強まっている。


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