経済の常識 VS 政策の非常識

2014年7月23日

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 アベノミクスの第3の矢、成長戦略の1つである国家戦略特区について、政府は、東京圏、関西圏、沖縄県、新潟市、兵庫県養父(やぶ)市、福岡市の6区域を3月28日に指定した。東京は国際ビジネス、イノベーション、関西は医療などのイノベーション、チャレンジ人材支援の拠点、沖縄は国際観光、新潟市は大規模農業の改革、養父市は中山間地農業、福岡市は創業のための雇用改革の拠点だ。

 安倍首相は、同日の国家戦略特区諮問会議で、「国家戦略特区という『岩盤規制を打破するためのドリル』を実際に動かせる体制が整った」と述べた。

3月28日の首相官邸における国家戦略特区諮問会議の様子
(提供・時事)

 では、特区によって岩盤規制を打ち砕き、日本経済を発展させることができるだろうか。国家戦略特区タスクフォースの発表した資料を見ていこう。

 まず、こういう種類の資料は分かりにくい。分析的に書かれていないためだ。つまり、発展するべき地域(あるいはその地域の特定の産業)が発展できないのは、○○の規制があるからであり、それを取り除けば発展できる。なお、これまで○○の規制があったのは△△のようなことが生じる懸念があったからだが、その懸念は□□の理由でまったく根拠がない(または、××の対策を講じることで懸念を封じることができる)、と書くべきである。

 書くべきであると言っても、お役人が私の言うことを聞いてくれるはずもない。役人に分析的な書き方ができないのは、頭が悪いからではなくて、そう書くと、これまでの規制が誤っている、すなわち、自分たちのしてきたことが誤っていると認めることになるからだ。しかし、分析的でないことで生じる混乱と非効率も大きい。

 大都市に関しては共通した項目が多いので、東京圏を中心に見てみる。ベンチャー支援機能を備える民間都市開発プロジェクトを対象に、容積率の引き上げを認める。国が行っている医療用後発医薬品の承認審査業務を東京都でも可能とする。外国の医師免許保有者による診療行為を容認する、などのメニューが並んでいる。

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