2024年4月20日(土)

都会に根を張る一店舗主義

2014年6月9日

 2年前、私もたまたま、パレルモ市内の『バイバイ・ブルース』2号店(『オフィチーナ・デル・グスト』)で食事をしたが、まるで日本料理のような軽やかな魚介料理に目を見張ると、女主人のパトリシアさんが日本人シェフを厨房から呼んできてくれた。思うに、バブル以後、わんさか押しかけた日本人シェフたちがイタリア料理界にも少なからず影響を与えているようだ。

 「そうですね。たとえば、あの店ではマグロ(シチリアでも本マグロが獲れる)のトロを煮込んで、赤身をタルタルにしていた。日本では逆ですからね。それと、僕はあの店で働いた最初の日本人なんです」。

 どうりで、パトリシアさんが日本人を頼りしていたはずだ。

 帰国後、廣瀬シェフは、京都の『菊乃井』でも学んだ。

 「郷土料理と言っても、日本は流通が良いせいもあってどうも見えにくい。京都ならば、昔ながらの料理がありはしないか」そう思い当たった。

 これだけの名店に、しかも勢いのある時期に出会えたのは、運がよかったと本人はあくまでも謙虚だが、私に言わせれば、それは、彼が誠実で、生真面目、しかも筋がよかったからに他ならない。

 その後、銀座で4年半働いた後、郷土で『ラ・モンターニャ』を開店。6年目にいきなり、東京にとんぼ返りしようとは夢にも思わなかった。

旬の素材の味わいを活かす繊細な料理

 『フェスティーナ・レンテ』は2011年12月に開店した。かつて『イゾリーナ』でともに働いた仲間、石井努さん(37才)と斎藤のぞみさん(33才)が、店を手伝ってくれることになった。店の細かな情報は、石井さんがフェイス・ブックで美しい料理写真とともに発信しているので、ぜひ覗いてみて欲しい。

スタッフの石井努さん(左)と斎藤のぞみさん(右)

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