2024年4月19日(金)

ヒット映画を読んでみる!

2014年6月4日

「外国人あるある」コント!

 こうした映画の内容を一言であらわせば、ずばり“コント”である。そう、芸人たちがテレビで繰り広げるコントなのだ。

 “濃い顔”とは言え、どこから見ても東洋人の彼らがローマ人を演じることは、最近は見かけない外国人ネタみたいなもの(松本人志のベーターとか)。しかもそのネタ内容は、「外国人あるある」。外国人が日本を訪れてその文化に驚いたり勘違いしたりするのは、日本のテレビではとても好まれる。たとえば、テレビ東京の『Youは何しに日本へ?』とか。

 『II』の特徴は、前半でこうしたショートコントが手短かに6回繰り返されることだ。前作と比べると明らかにテンポが良くなっていて、とても効率化が図られている。それは、一話完結だった原作の前半部を踏襲したものでもあるが、同時に、2時間の映画を観続ける集中力のないライト層にも優しい手法だ。

 そこで思い出すのは、昨年末公開された『永遠の0』である。興行収入86億円と大ヒットとなったこの作品も、2時間24分の長い尺を4つの回想エピソードで構成している。まるで短編映画を組み合わせたかのような構成だった。これなら映画をふだん観ないひとでも、飽きずに観続けられる。映画館でも、小学校低学年の子どもやカップルが、お喋りしながら楽しんでいた。完全にテレビ感覚である。

 さらに『II』の特徴は、テレビ的なおふざけ要素を強めていること。ルシウスと真実は、当初は字幕付きのラテン語で会話しているが、中盤で「《BILINGUAL》」というマークと「ここからは同時通訳でお楽しみください」といったテロップが入り、ふたりは日本語で話すようになる。テレビ画面が映画館のスクリーンに映し出されるわけである。映画館でテレビの手法を観る──こうしたおフザケなのである。なんともフジテレビっぽい。

(C)2014「テルマエ・ロマエⅡ」製作委員会

 他にも小ネタとしては、松島トモ子が熊と仲良く混浴していたり、ジェット浪越と似た指圧師・浪越徳三郎が登場したり、コロッセオで戦うグラディエーター役に元力士の曙や琴欧洲がキャスティングされていたりする。松島トモ子のくだりとか、元ネタを覚えているひとはもうあまりいないだろうに……。

 なにはともあれ、『テルマエ・ロマエII』は前作よりも、さらにテレビ的な要素を強めているのだった。


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