2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月5日

 同時に、インドは、中国、ロシア、米国との間で戦略的理解を発展させなければならない。インド、ロシア、中国は、アフガンへの影響力を同時に争っているので、こうした相互理解には、もちろん、紆余曲折があろう。しかし、アフガンが再び内戦に陥ったりテロの輸出基地になるのを防ぐことが、パキスタンを含む全ての国の利益に適うことであることを考えれば、印露中間の何らかの協定が可能であり、必要でもある。

 インドの次期政権は、米国とのパートナーシップも促進しなければならない。最近まで、米印二国間関係は、環太平洋の側面を無視しがちであったが、インドは、西側をパキスタンに阻まれ、貿易および戦略的パートナーを求めて、ますます東方に目を向けるようになっている。インドは、米国との間で、中央アジアについての共通の見方を作り出すことが出来よう。

 米国のアフガンからの撤退は、短期的には、地域全体にとって挫折となろう。しかし、米国は、撤兵するといえども、イスラム主義者のテロが米国に与える脅威を無視し得ない。それゆえ、米国は、インドのような国に、グローバルな対テロ政策の成功の保障をますます依存することになろう。しかし、米印関係の価値は、対テロ戦争にとどまるものではない。米印は、軍事的、産業的、科学的技術の移転のためのチャンネルを作る必要もある。

 米印協力を前進させる一切の動きは、気遣いと尊敬が不可欠であり、明確で、実務的で、達成可能な目標を持たなければならない。米印両政府が、必要な時間とエネルギーを互いに注げば、両国は、南アジアにおいて、そしてそれを越えて、安定化に重要な役割を果たすことのできる、世界の二大民主国家間のパートナーシップを構築し得る、と論じています。

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 今回のインドの総選挙で勝利したインド人民党(BJP)が、前回、1990年代後半から2000年代初めにかけて政権の座にあった時、財務、外交、防衛などの主要閣僚を歴任したジャスワント・シンが、新政権は、伝統的な非同盟政策と決別して、米、日、豪などとの連帯を強化すべきである、と論じている論説です。


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