2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月13日

 米はアジアへのリバランスを一人ではできない。欧州諸国、更にロシアやインドとも協力し、地域の国とも協力すべきである。アジアへの軸足移動はルールを尊重し、強制や力に頼らず開放的、平和的、繁栄する地域を作ることにある、と論じています。

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 この論文は、米国のアジアへの軸足移動、リバランシング政策について標準的な説明をしたもので、特に目新しい点があるわけではありませんが、キャンベルはこの政策が生み出された米戦略再評価に深く関与した人物ですから、その点で価値があります。

 問題は、アジアへの軸足移動により、政策的に何をするかです。端的にいうと、対中関係についてどういう姿勢を取るのかという問題です。キャンベルは、対中関与の深化、対中関係の改善もリバランスの重要な目的としています。しかし、現在、アジア地域では、中国の軍事力強化、海洋進出、現状変更政策、国際法違反が問題となっているのですから、同盟強化、国際規範の尊重をもっと強調し、中国にもそれを求めて行く姿勢をより鮮明にすべきです。そうでないと、リバランスの目標が不明確になります。ただ、時と共に、中国の対外行動は米国の利益に反することが多くなり、米国は結局、対中対抗、同盟強化に傾かざるを得ないでしょう。

 なお、安倍総理の靖国参拝批判や日本の歴史問題への対処については、十分な知識や洞察なしに判断されている嫌いがあります。米側には、日本の立場をもっと説明しておく必要があると思います。

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