米VS露
アジアにおけるエネルギー戦略


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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米グローバル安全保障分析研究所共同所長のガル・ルフト(Gal Luft)が、National Interest誌ウェブサイトに5月13日付で掲載された論説において、ロシアは韓国、中国、インドにパイプラインを敷き、天然ガスや石油を供給しようとしているが、これはロシアがエネルギー面で軸足をアジアに移そうとしていることを意味し、米国はこれに対抗する諸措置を講じるべきである、と述べています。

 すなわち、ロシアの対外関係を強化するものはエネルギー・パイプラインである。クリミア以降、欧州に対するロシアのエネルギーの梃子は弱まりかねず、また、あと数年で北米からのLNGが欧州に上陸するだろう。プーチンはロシアの経済を維持し、エネルギー大国としての地位を保つために、石油、ガスに対する需要が無尽蔵なアジアにエネルギーの触手を広げなければならない。

 最近、ロシア議会は100億ドルに上る北朝鮮の負債を帳消しにし、その代わり、北朝鮮はサハリンから北朝鮮を通って韓国に至るガス・パイプラインの建設に合意した。それにより、エネルギー通過国の役割を北朝鮮に与え、北朝鮮への梃子を手に入れるのみならず、韓国のロシアのガスに対する依存度を6%から30%に高め、韓国に対する影響力を高めうる。

 韓国より重要なのが中国である。西シベリアから中国北西部に至るパイプラインの建設は、過去15年間遅れに遅れたが、今般のプーチンの訪中でようやく日の目を見るかもしれない。

 ロシアは、同時に、中国の新疆経由でロシアのアルタイ山地域と北部インドを結ぶ総工費300億ドルの石油パイプラインの建設を交渉している。インドは購買力平価で日本を抜き世界3位の経済大国になったばかりであり、石油輸出大国であるロシアにとって、インドほど良い市場はない。

 中国、インド、韓国に対する3つのパイプラインが建設されれば、世界人口の3分の1がロシアのエネルギー資源に頼ることになり、ロシアが世界の舞台でとてつもない力を得ることになる。

 しかし、米国は、ロシアの戦略に対抗するような、アジアのエネルギー安全保障構想を持っていない。米政府は、ロシアのエネルギー輸出計画を妨げるために、アジアのエネルギー安全保障戦略を提示し、アジアの同盟国にその利点を説得しなければならない。

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