オトナの教養 週末の一冊

2014年6月26日

»著者プロフィール
著者
閉じる

本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

ーーアメリカでは精子バンク利用者は多いんですか?

小林:数としては減ってきています。精子がひとつでも見つかれば、それを卵子の中に入れることで受精卵をつくることができる顕微授精が発達したためです。これまで精子バンクを利用していた人が、顕微授精に乗り換えたため、精子バンクは一時期危機的な状況になっていたようです。

 しかし、精子バンクは新たな顧客として同性愛のカップルや、シングルマザーをターゲットに売り込みをし始めました。ただ、同性愛のカップルは親が2人ですが、シングルマザーは母親しかいないので、子どもが可哀想、という風潮があるようで、シングルマザーへの提供を認めていないバンクもあると聞いています。

ーー生殖医療を受けたい当事者とそれ以外の人たちの温度差の他に、学会や法のガイドラインとの温度差もあるとのことですが、これを埋めるにはどうすればいいとお考えですか?

小林:審議するとき、不妊で悩む当事者の話を聞くのですが、当事者も自分の立場しか主張しないですし、聞いているメンバーも自分たちの立場しか主張しないというのが繰り返されているのが現状です。倫理学では、相手の置かれた状況に立ちどう考えるかというイマジネーションが重要なんです。でも、それがなかなかできないんですね。

ーー本書をどんな人に薦めたいですか?

小林:不妊治療をどうして受けるのかと考えている人に読んでほしいですね。当事者の気持ちや、置かれている状況、社会の状況、仕事と家庭の両立でどうしても子づくりを後回しにしなければいけない状況を知れば、一概に「ワガママ」などと言えないことがわかると思います。

 繰り返しになりますが、この本では不妊治療を受ける当事者と非当事者、あるいは批判的に見ている人たちの「温度差」を明らかにし、それぞれの認識の隔たりに橋を架けたかったのです。

小林亜津子(こばやし・あつこ)
東京都生まれ。北里大学一般教育部准教授。京都大学大学院文学研究科修了。文学博士。専門はヘーゲル哲学、生命倫理学。映画や小説などを題材にして学生の主体性を伸ばす授業を心がけ、早稲田大学でも教鞭をとる。著書に『看護のための生命倫理』『看護が直面する11のモラル・ジレンマ』(ともにナカニシヤ出版)、『はじめて学ぶ生命倫理』(ちくまブリマー新書)などがある。

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

関連記事

新着記事

»もっと見る