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2014年7月14日

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佐々木一寿 (ささき・かずとし)

経済コラムニスト

経済コラムニスト。横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業、経済系・報道系の記者・編集者を経て、現在はビジネス・スクールに在籍、研究員/出版局編集委員としての著作も多数(office.sk2@gmail.com)。近著に『「30分遅れます」は何分待つの?経済学』(日経プレミアシリーズ、日本経済新聞出版社刊)、『今さら他人に聞けないアベノミクス』『教養としての「デフレ」入門』(ともに電子版シリーズ、PHP研究所刊)がある。

 「やはり、『王国』でのワールドカップは迫力が違う」

 素直にそう思わせられた1カ月が盛況裏に終わり、それとともに気になってくるのが「ブラジル経済」の今後だ。

 準々決勝のコロンビア戦でエースのネイマールを失い、準決勝でドイツに歴史的大敗を喫してしまったブラジルだが、果たして、「ブラジル経済」においては、再びゴール(成果)を量産できるのか。はたまた、重要な局面でまたしても難敵に屈してしまうのか。

 サッカーチーム同様、ブラジル国民のみならず世界中の経済人の注目を集めるのには、じつは理由がある。

画像・Thinkstock

ブラジル経済は、新興国経済の典型例のひとつ

 ブラジルは南米経済の中心的な存在であり、また、世界規模で見ても重要であるが、それは、世界経済を考えたときに、経済的新興国の発展が寄与するところが非常に大きいからだ。

 もはや新興国を示す代名詞ともなっているBRICsという言葉は、ブラジル、ロシア、インド、中国、(とそのほか)といった意味だが、その成長が世界経済の発展を支えている、といっても言い過ぎではないことは、20年前の世界経済を思い返してみるまでもないだろう。

 世界的なイベントである、W杯、オリンピックは、経済学的には「世界的なケインズ政策」という側面も持つ。世界中、そして自国からの莫大な収益が半ば約束され、それを見込んで、事前に投資を行うことが出来るからだ。

 「世界経済の御意志」というものが明確にあるかどうかは私には分からないが、W杯や五輪が新興国の振興のために役立ちうる機会であることは確かだろう。実際に、W杯は、2010年は南ア、2014年はブラジルで開催され、2018年はロシア、2022年はカタールで開催される。

 オリンピックの場合は、厳密には国単位ではなく都市単位だが、2008年は北京(中国)、2014年はソチ(ロシア)、2016年はリオデジャネイロ(ブラジル)、2018年は平昌(韓国)で開催、2020年のオリンピックは東京での開催が決まったが、イスタンブール(トルコ)も最有力候補のひとつであったことは記憶に新しいだろう。

 新興国において、まず決定的に重要なのは、それによってインフラ整備が一気に進むことだ。

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