2024年4月25日(木)

佐藤忠男の映画人国記

2009年6月16日

 白川和子は現在の東彼杵(ひがしそのき)波佐見(はさみ)町出身。初期の日活ロマンポルノで活躍したあと、いい脇役となってアート系の映画で重要な存在になった。

 原田知世も長崎市の出身。アイドル時代をへて代表作は「紙屋悦子の青春」であるが、戦争中に海軍の将校とお見合いをする女性の役で、出色の佳作であり、いい役を得て存分の演技をしている。

 男優では戦中戦後の渋い名脇役だった河野秋武(1911~1978年)が南高来郡安中村(現島原市)の出身。黒澤明の「続姿三四郎」の異様な白装束の柔術使いや「わが青春に悔なし」の検事など忘れられない役がたくさんある。

 美輪明宏は長崎市出身で原爆を経験している。実家は長崎市内の繁華街でカフェーや料亭を経営していた。幼い頃から声楽の個人レッスンを受けて、中学を出ると上京して国立音楽大学附属高校に学んだ。シャンソン歌手になり、銀座の銀巴里というシャンソン喫茶で歌っていた頃、私はたまたまその同じビルで雑誌編集者として働いていて、よく見かけたものである。水もしたたる美青年だった。そしてまもなく日本のゲイ文化を代表する歌手・俳優となった。

 寺山修司の初期のアングラ芝居の「青森県のせむし男」や「毛皮のマリー」が忘れ難い。映画にも進出して「黒蜥蜴」が評判になった。年輪を重ねてますます妖しいオーラを発散するようになったが「オーラの泉」の不思議な感受性には本当に驚いている(次回は神奈川県)。


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