2024年4月25日(木)

都会に根を張る一店舗主義

2014年8月13日

牛肉の塩味煮込み 香味ソース掛け

 たとえば、4つめの皿、牛肉の塩味煮込みは、柔らかなハチノスや豆は、牛肉とはまた違う甘い風味を楽しめる。

 「牛肩肉の塊を、ゆで鶏の要領で茹でて、小葱やミントを加えた薬味を添えたものです。でも味を統一したくなかったので、ハチノスや豆は別の味付けで煮込みました」

 この辺が、家庭では真似のできない手間のかかった料理なのだ。

 しめは、人気メニューの四川マーラー豆腐と白ご飯か、喉越し最高の手打ち冷やし担々麺。甲乙つけがたい美味しさだ。

アラカルトでも絶大な人気を誇る四川マーラー豆腐と新潟の実家から届く米、北海道小麦を使った喉越しのよい手打ち麺。 

 デザートも、金銭ガメの甲羅や薬草を煎じた亀ゼリーや、乾いた体を潤す台湾の愛玉ゼリー、まろやかな杏仁豆腐と薬膳。

 アラカルト専科の常連もいれば、年に8回、メニューが変わる、食養生コース目当ての常連もいるそうだ。

中国の薬膳の基本である陰陽五行の思想

 さて、この梅雨時のメニューには、「気を補い、脾を健やかにする食材として牛肉、牛胃、玉ねぎ、インゲン豆、汗をかかせるのはトウチ、シソ、ミントなど、余分な水分を排出する鯉や冬瓜」と中医学における効能が遠慮がちに記されている。

 この脾とは、栄養の吸収と循環を司る臓器のことで、胃・腸とも置き換えられる。中医学の基礎にある陰陽五行の思想に根ざす。その壮大な原理を説明するには、とても紙面が足りないが、陰陽とは、万物には天と地、暖と寒というように二つの極がある。また五行とは、万物を成す五大要素、木、火、土、金、水に、人体の5つの機能、肝(気の循環と血液の貯蔵)、心(血液の生成と循環)、脾(栄養の吸収と循環)、肺(気の調節、水分の循環)、腎(生命エネルギーの貯蔵、水分の排出)が呼応している、とする考え。たとえば、肝臓を悪くすると、目が黄色く濁るように、これがさらに目、舌、口、鼻、耳に呼応。そして陰陽五行とは、そのすべてが互いに関わりあっており、健康とは、それらのバランスが保たれた状態を指す。


新着記事

»もっと見る