日本の漁業は崖っぷち

2014年7月18日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 もっとも「レッドリスト」とその対象生物となってしまっていることからわかる通り、既に数十年単位で、果たして資源が回復するかどうかという酷い状態にあります。抜本的な手を打たなければ、資源はますます悪化してしまいます。乱獲による資源の枯渇により多くの失業者を出した大西洋のカナダのマダラは、1992年以来、20年以上禁漁を続けています。そしてようやく我慢が実って資源が回復しつつあります(第9回参照)。大事なことは主因である乱獲を環境の変化等に責任転嫁せず、問題の本質を理解し、それを行動に移して未来につなげていくかどうかということです。

90年代の乱獲が大きな原因

 日本は世界のウナギの約7割を消費すると言われています。ヨーロッパウナギは、2008年に同じくレッドリストに加えられており、2007年よりワシントン条約によって貿易が規制される「付属書2」に記載される決議を受けています。ウナギ研究の世界的権威でオランダのウィリアム・デッカー博士によると、1990年代は乱獲状態にあったと言え、場所によっては、河川を遡上してきたシラスウナギの90%以上が漁獲されており、これが資源に大きな影響を与えている可能性が高いそうです。

 それまで、その稚魚の多くは中国に輸出され、養殖されて日本に供給されていました。1980年代後半からは供給が大幅に増え(右のグラフ)、ウナギの価格が大幅に下がり、スーパーの売り場には、安い中国産のウナギが「所狭し」と並んでいたのを記憶している方も多いはずです。

 その後、日本は、ヨーロッパウナギやニホンウナギを食べ尽くし、東南アジア、アフリカ、アメリカのウナギにも触手を伸ばしてきました。世界のウナギは19種類あり、特に熱帯系のウナギについては、資源量は小さいと言われています。ウナギの稚魚の価格が不漁で価格が上がるほど、日本の乱食のために、世界各国、特に途上国では漁獲圧力が高まり、資源を獲り尽くしていってしまうのです。

 中国、台湾そしてEUはウナギの稚魚の輸出を禁止しています。にもかかわらず、実際には漁獲がないはずの香港から、日本へ稚魚が輸出されているのもおかしな現象です。2014年・2013年のウナギの稚魚の輸入量は4.3トン(平均単価 キロ86万円)と7.9トン(平均単価 キロ230万円)ですが、香港からの輸入比率は、各86%、93%と約9割が香港からとなっています。

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