世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月18日

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 ミシェル・フロノイ元米国防次官(新アメリカ安全保障センター;CNAS共同設立者)とエリー・ラトナー(CNAS研究員)が、7月4日付ワシントン・ポスト紙に「中国の領土拡大は米国により止められねばならない」との論説を寄せ、中国を国際秩序に取り込む政策は成果が出ておらず、見直すべきである、と論じています。

 すなわち、中国は今年、初めてRIMPACに参加する。オバマ政権は、中国が建設的な役割を果たすように奨励しているが、これは米中国交正常化以来の米政策を特徴付ける。しかし、中国は、今や、自ら台頭に役立った、国際体制の維持に、疑念を呈している。対中アプローチを再検討する必要がある。

 今のアプローチは、現在の経済・安保秩序への中国の統合が、中国や米国その他にとり利益だとの前提に立っている。そこで、米国は、中国のWTOを含む国際機関への加盟を支持し、中国との二国間関係を、戦略・経済対話などを通じて強化してきた。その結果、中国が、安定や航行の自由や紛争の平和的解決など既存の規範の尊重に利益を見出すようになると想定された。ゼーリック元国務副長官の「責任ある利害関係者」という言い方もあった。

 しかし、不幸なことに、こうしたことは、現実には起こっていない。2桁の成長を続けた後、金融危機で米の衰退を予想し、中国は政策転換し、外交上の主張を強めた。特に習近平就任後、鄧小平の紛争棚上げ論とは逆に、東シナ海、南シナ海で領土要求を進めた。

 中国指導部は共産党の正統性の源泉である経済成長には安定した地域環境が必要であると知っている。そこで、中国は、米や隣国からの深刻な反応を挑発しない、沿岸警備隊での小島占拠、紛争海域での石油掘削など、手加減をした措置で領土の現状を変えようとしている。

 この中国の修正主義を放置すれば、アジアにおける国際秩序を変えてしまう危険がある。徐々に温度の上がるつぼの中の蛙のように、気がついたときにはどうしようもなくなる。

 米国はどう対応すべきか。米国は、中国とのパートナーシップ形成に努め、関与をし続けるべきである。しかし、中国の不安定化政策は止めるべきである。米国は、アジアで規範に基づく国際秩序をもっと目に見えるように執行する措置をとるべきである。

 米国は、手始めに、中国の冒険主義的行動を抑制し、沿岸警備を向上させるため海洋状況把握のための地域的構造の建設を支援し得る。米国は、また、中国のパワー・プロジェクション能力に対し、諸国が抵抗し防衛する能力を発展させるのを助けるべきである。

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