2024年4月24日(水)

田部康喜のTV読本

2014年8月6日

 バスの床の羽目板から、警察が催涙弾を打ち込み、その瞬間に老人は拳銃で自らの頭を撃ち抜き自殺、事件はあっけなく解決する。

 杉村たち人質のもとに、老人が約束した「賠償金」が届き始める。300万円や500万円など金額はまちまちである。

 老人がバスジャックの現場にくるように要求した3人の人物を探ることから、杉村は事件の真相に迫ろうとする。

 そして、老人がかつて、詐欺商法の指南役ではなかったのか、という疑惑にたどり着く。詐欺商法のメンバーは、かつて企業の社員教育を請け負っていた、と義父の今多は打ち明ける。編集長の園田は今多グループが社員教育に送り込み、洗脳教育のようなカリキュラムから自殺未遂を図ったことが明らかになる。

 第5話(8月4日放映)に至って、3人のうちひとりの男性が殺される。被疑者はかつて彼の下で詐欺を働いていた。

 「悪は伝染し、姿を変えて伝染していく」

 「人生のあとをひく。そのときは重要だとわからないのだ」

 小泉のナレーションは静かに、物語の緊張を高めていく。杉村がたどりつく運命とは。

現代社会の問題を反映する「若者たち2014」

 「若者たち」は1960年代後半にヒットしたシリーズのリメイクである。前作は、劇団・俳優座の若手たちが青春群像劇を作り上げた。舞台となった佐藤一家の長男は田中邦衛、次男は橋本功、長女は佐藤オリエ、三男に山本圭、四男に松山省二である。

 青春とはいつの時代も苦悩に満ちたものである。「2014」版の佐藤一家は、現代社会の問題を反映して、前作以上に苦悩が深いようにみえる。

 長男の旭(妻夫木聡)は一家のために高校中退後から地道に、道路工事作業員として働いてきた。恋人の澤辺梓(蒼井優)が妊娠、それも旭と結婚したいがためのそれであった。


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