田部康喜のTV読本

2014年8月20日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 1954年3月1日、太平洋のビキニ環礁で、広島型原爆の1000倍の破壊力をもった水爆実験が行われた。米国が前年にソビエトが成功したのに追いつこうとしたのである。

 実験地から150キロ圏内で操業していた、第五福竜丸が被ばくした悲劇は広く知られている。乗組員23人の全員が被ばくし、無線長の久保山愛吉さんが急性の原爆症によって亡くなった。

歴史の新たな事実を掘り起こした調査報道

 NHKスペシャル「水爆実験 60年目の真実」(8月6日)は、ビキニ環礁の水爆実験によって、第五福竜丸のみならず100隻近い漁船が被ばくした可能性を明らかにした。

 これまで、なぜこうした重要な事実が隠されてきたのか。番組はその深層にも迫った。

 歴史の新たな事実を掘り起こした、調査報道の力作である。

 広島の原爆症に取り組んできた科学者たちがその真相を明らかにした。さらに取材陣は米国や日本の公文書を情報公開の手続きで手に入れて、科学者たちとともに水爆実験の影響を探っていく。

 調査チームは昨年4月にスタートした。放射線物理学の権威である広島大学名誉教授の星正治さんと、統計学の専門家である同大教授の大瀧慈さん、血液学の田中公夫さん。そしてこのプロジェクトのきっかけとなる漁船員の追跡調査を行っていた、元高校教師の山下正寿さんである。

 「ヒロシマ」の悲劇を追究してきた科学者たちが、ビキニの水爆に挑むことになった。

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