2024年4月23日(火)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年8月22日

分岐点に差し掛かる日本経済

 現在は、景気刺激を果たした積極的な財政金融政策に代わって、業績が回復した企業が賃金を上げて、消費と経済を支える局面にある。そして、この企業の賃上げがさらなる緩やかな消費拡大とインフレをもたらして、日本経済をデフレと低成長の悪循環から抜け出させて好循環経済に導くことにもなる。

 さいわい、円安や大胆な金融緩和策の継続などがあり、賃金は緩やかに上昇し始めているが、その動きは本来あるべき姿より鈍いと言わざるをえない。それは、景気動向に対して企業行動が出遅れている可能性が強いということであり、企業行動があまりに慎重になっている可能性が強いということでもある。

 日本経済は今大きな分岐点に差し掛かりつつある。それは、業績が回復した企業が一層のビジネス拡大に踏み出すかどうかの分岐点でもあり、今は踏み出す時期でもある。企業が一層の投資拡大と雇用・賃金増を図るのか、それともふたたび利益の内部留保拡大を通じて縮み志向を強めることになるのか、企業行動の次の一手が日本経済とアベノミクスの方向を決めることになる。

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