オトナの教養 週末の一冊

2014年8月28日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

ジャーナリスト

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスク、調査研究本部主任研究員などを経て2017年4月より読売新聞東京本社メディア局編集部次長。『御社の寿命』、『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』、(いずれも中央公論新社)など

 最近GPIFという言葉を新聞記事やテレビのニュースで耳にすることが多くなりました。Government Pension Investment Fund という英語の略称で、日本語では「年金積立金管理運用独立行政法人」というのが正式名称ですが、日本の成長戦略とからめた運用改革が注目されています。4月までGPIFの運用委員会委員を務め、7月に『GPIF  世界最大の機関投資家』(東洋経済新報社)を上梓した慶應義塾大学ビジネススクール准教授の小幡績さんに話を聞きました。

――本書をお書きになった動機は何だったのですか。

小幡:多くの国民にとってはGPIFという名前が急に出てきたという印象を持たれるのではないでしょうか。その一部を株式で運用していたということを知らなかった人も多かったと思います。リーマン・ショックの起きた2008年度は大きな損失を出しましたが、2013年度には大きな利益によってそれをとりもどしたのもあまり知られていません。

 私はこれまで運用委員としてGPIFの運用に関して議論をしていましたが、今年の4月に退任し、外から客観的な目でみられるようになりました。国民がオーナーであるGPIFを今、改革するという動きになっていますので、この機会に国民全体の理解を深めることに役立てばと思って書きました。

『GPIF 世界最大の機関投資家』
(小幡績、東洋経済新報社)

――GPIFを解説する類書はあまりありません。

小幡:そもそもGPIFの本質は何かということをできるだけわかりやすく書きました。結局何をやっているのか、本質的には何が問題なのか、専門家でもあまりわかっていない部分があるので、根本に帰って議論しました。

――要するにGPIFは政府系ファンドという理解でよいのでしょうか。

小幡:英語で言えば政府系ファンドですから、投資ファンドというのが一つの側面です。世界的には運用機関であり、リスクをとって積極的な投資をする普通の投資家と見られています。世界の有力な投資家であることを我々も理解し、その上であり方を議論し、今後の投資の心構えを持つことは重要だと思います。

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