経済の常識 VS 政策の非常識

2014年9月29日

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 話を戻すと、名ばかり管理職、名ばかり店長などという問題はあるのだが、実際に裁量権、人事権のある管理職、店長なら、残業代を付けないことがすでにできる。昼間の喫茶店に行くと、背広にネクタイの人がかなりいる。多くの人が外回りの営業マンなのだろう。営業マンの成果は見えやすいから、成果で評価するのが本人にも会社にも都合が良い。

 研究職、ソフトウェア開発者、ジャーナリスト、デザイナー、コピーライターなどの仕事は、時間が成果に結びつかないのだから、労働時間と無関係に給与を決めるのは当然だろう。明示されていないが、私が大学に職を得る前の仕事、エコノミストも、アナリストの隣接業務であり、仕事の内容としてはジャーナリストと文系研究者の中間のようなものだから、当然、残業代を付けないようにすることができる。

 そもそも、日本の裁量労働制対象業務は、アメリカとたいして変わらない。違いは、日本では大学教員だけに認められている除外措置が、アメリカでは学校の教師に広く認められていることぐらいである(厚生労働省労働政策研究・研修機構の「諸外国のホワイトカラー労働者に係る労働時間法制に関する調査研究」労働政策研究報告書№36 05年による)。

 ホワイトカラー・エグゼンプションが日本の企業の国際競争力を高めるためであるなら、労働時間と賃金の支払い方に関しては、アメリカと同じ制度にしてしまえば良いのではないだろうか。そうすれば、日本はグローバル化対応が遅れていると批判する人もいなくなる。また、アメリカで過労死など聞いたことがないので、残業代ゼロで過労死が増えると批判する人もいなくなるのではないか。

無駄な残業は上司の責任

 法律を改正する前に、まず、現行の制度で裁量労働制にできる人には、なるべくそうすれば良い。すると、残るのは、間接部門の下働きのホワイトカラーと、伝票整理や売掛金の回収などの定型業務を行っているホワイトカラーということになるだろう。どちらも普通、年収1000万円にはならないから、法律を改正しても適応範囲にならない。なんで法改正が必要なのだろうか。

 年収条件はあとからついたから、本来の意図は下働きや定型業務でも無駄な残業を減らしたいということなのだろう。

 そもそも無駄な残業を減らすのは、管理職の仕事である。本来、残業は、管理職の命令で行うべきもので、部下が勝手に残業できてしまうこと自体がおかしい。また、命令しておいて残業代を払わないのはもっとおかしい。部下の時間管理ができないことで、企業に無駄なコストがかかっているというのなら、管理職の給料を減らせば良いのではないか。

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