オトナの教養 週末の一冊

2014年8月28日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――ジョージ・W・ブッシュ大統領時代に、反知性主義という言葉が話題になりました。

矢口:アメリカには反知性主義の伝統が長い間あると言われています。でも、それは学問を否定するわけではなく、どちらかと言えばヨーロッパ的な知の原理に抵抗する流れです。ブッシュ元大統領は、インテレクチュアルではないということで、インテリの人たちから揶揄されました。

 また、彼の影響は非常に強くて、創造論擁護にまわったのはインパクトが大きかったですね。ただ現在はその議論は少し下火になっています。

――本書の冒頭に、アメリカではミュージアムを訪れる人の数が主要プロスポーツ(メジャーリーグ、プロバスケットボール、プロフットボール)とディズニーランドなどの有名遊園地の観客動員数を足した合計より多いとあります。ミュージアムはそれほど人気スポットなのでしょうか?

矢口:人気の理由のひとつとして、アメリカではミュージアムは教育機関として認識されています。日本でも同じように捉えられていますが、アメリカの場合、ミュージアムエデュケーションという分野が大学院の専攻にあり、ミュージアムにはその修士号や博士号を取得している教育の専門家が雇われているのです。

 子どもたちが学校の勉強の一環としてミュージアムへ行く場合、まず資料をインターネットでダウンロードして事前学習をします。そして実際にミュージアムへ行き、ミュージアムエデュケーションの専門家と一緒にお目当ての展示品を観たり、触ったりします。また鑑賞後には子どもたちのための教室が設けられているので、そこで楽しく学ぶことができます。しかも、入館料が無料のミュージアムがかなりありますし、子供割引なども多い。

 日本の場合、一部の博物館や美術館で教育担当の方が一生懸命取り組んでいますが、予算の問題があり、なかなかアメリカのようには出来ないのが現状です。

――無料なのですね。それは州や政府がお金を出しているからですか?

矢口:スミソニアン博物館は連邦政府からお金が出ていますが、ほとんどのミュージアムは資産家からの寄付で成り立っています。たとえ公的なお金が入っていても、実際の運営には、寄付金が大きな割合を占めているところが多い。アメリカでは、資産を築いたら、どれだけ寄付をするかというのが、その人の資質として評価されるという風潮がありますから。寄付先としては、大学をはじめとした教育機関、美術館や博物館などのミュージアムが多いようです。

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