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2014年8月29日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

 徐才厚元中央政治局委員、周永康中央政治局常務委員という引退した中国共産党の指導者の処分を公表した習近平総書記は最高指導者としての権威づけに成功した。習近平は、権威をさらに高め、権力基盤を固めるため、実績作りの段階に入ることになった。その中心となるのが、昨年11月に開かれた18期3中全会で提起された「改革の全面的深化」の実行である。

 8月22日、「改革の総設計師」と呼ばれた鄧小平の生誕110周年を迎えた。『人民日報』は8月19日からこれを記念する記事や論説を連日掲載し、鄧小平の功績を讃えた。そしてそのクライマックスは20日の記念座談会であり、習近平、李克強ら中央政治局常務委員7人全員が参加した。そして習近平が重要講話を行い、8月21日付『人民日報』はその全文を掲載した。

 権威づけに成功した習近平がどのような改革をどの程度進めようとしているのかはまだ分からない。この講話には習近平の政治観が表れており、今後の改革を予測する上でいくつかのことを示唆していると考える。

鄧小平への評価と学ぶべきこと

 この8月20日の習近平の講話から次の3点に注目した。

(1)鄧小平と毛沢東との関係

 この講話の最初で習近平は鄧小平の一生を振り返るのだが、興味深いのは「毛沢東」への言及が多いことである。

『文化大革命』の誤った実践と理論を徹底的に否定し、毛沢東同志と毛沢東思想の誤った思潮を断固否定し、党と国家の発展のために正確な方向を規定した。

 このように鄧小平が毛沢東の過ちを否定したことに言及するのだが、次のようにも言及した。

(1949年10月以前の新民主主義革命期において)鄧小平同志は毛沢東同志の親密な戦友だった。

(1978年12月以降の改革・開放の新時期において)(鄧小平が)実事求是を強調することは毛沢東思想の精髄である。

 結局、習近平はこの講話の中で「毛沢東」に10回も言及した。こうした毛沢東への度重なる言及は、鄧小平が毛沢東を継承して共産党の一党支配を守ってきたことを強調している。

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