ヒットメーカーの舞台裏

2014年10月13日

»著者プロフィール
著者
閉じる

池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 お風呂の湯面に浮いた皮脂を、不織布のフィルターで吸い取る。その吸着フィルターは、ゆるキャラのようなぬいぐるみに収容しており、これも人気を呼んだ。今年3月に発売すると3カ月で1万個を突破し、当初計画の3倍の売れ行きになっている。

3種類ある「ゆくりん」

 吸着フィルターは、事故で洋上に漏えいした原油などを処理するのと同じ素材。これに微細な銀粒子を練り込んでおり、抗菌と防カビの機能も加えた。身長26センチほどのゆくりんを、お湯に浮かべて泳がすようにして皮脂を吸着する。

 ぬいぐるみのカラーは3種類で、デザインがそれぞれ異なり、愛称もついている。日々の手入れは、水洗いし、絞って干すだけ。ぬいぐるみの腕同士がボタンで留められるようになっており、風呂場のタオルかけなどに引っ掛けておくことができる。

 本格的な手入れは1~3カ月ごとに、フィルターを取り出してカバーとともに中性洗剤で洗う。そうすれば、ぬいぐるみの色落ちなどはあるが、1年半から2年は使えるという。顧客からは「家族の後から入浴しても、お湯の臭いが少なくなった」「浴槽の掃除時間が短縮できた」といった機能面の評価だけでなく、「風呂に浮かんだ姿に癒される」という反響も多い。価格は税抜きで1800円だが、癒し効果も含めたトータルのコストパフォーマンスが支持されている。

 ただ、機能面では「誤解しないようにしていただきたい」と、商品化を担った住生活資材事業推進部・開発担当主任の野杁達郎(33歳)が注釈する。フィルターが吸着する皮脂とは皮膚や頭皮から出るアブラ分のことだ。皮膚の古い角質がはがれたアカは吸着できないという。

 開発に着手したのは2013年の春。東日本大震災後、野杁の属する住生活部門は、省エネや節約といったキーワードで新製品開発を模索してきた。野杁は12年には、特殊な繊維に水を含ませて蒸発させる方式で、電気や熱エネルギーを使わない加湿器をヒットさせた。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る