経済の常識 VS 政策の非常識

2014年9月5日

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 安倍政権下の本格的なリフレ政策なら、さらに若者の雇用が改善し、若者の格差が縮小するだろう。若者の格差は、持ち越される。20代で安定した仕事に就けた若者とそうではなかった若者の格差は30代になっても続く。不安定な仕事にしか就けなかった若者は年金も少ないので、格差は高齢者になっても続く。リフレ政策は、すべての年代での格差を縮小することができる。

リフレ政策の恩恵

 リフレ政策はあらゆる雇用を拡大させる。ブラック企業を減少させる。自殺者も減らす。格差も縮小させる。これらは、リベラルと言われる人々の望むものだと私は思う(私はリベラルではないが、私も望んでいるものだ)。少なくとも、アメリカでリベラルと言われる人々-プリンストン大学のポール・クルーグマン教授(同教授のニューヨークタイムズの連載コラムのタイトルは「リベラルの良心」である)やコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授など-は、雇用拡大のために金融を緩和せよと論じている。ところが、日本のリベラルは金融緩和に反対である。

 なぜ、そうなのだろうか。考えられる第1は、リベラルではない安倍政権になって、リフレ政策が成功したら嫌だから反対しているという答えである。しかし、うまくいったらどうするのか。そもそも、民主党というリベラル派の政権ができたのだから、その時にリフレ政策を行っていれば良かった。誰がやっても、リフレ政策は効果があって、雇用情勢は改善する。もちろん、リーマンショック後まもなくだから、すぐには良くならなかったかもしれないが、何もしないよりはずっと良かったはずだ。

 第2は、成功したら、自分たちが攻撃している問題が少なくなって攻撃のネタに困るという答えである。しかし、これにも成功したらどうするのかという問題がある。第3は、今はうまくいったように見えても将来はもっと悪くなると考えているからだという答えである。将来もっと悪くなるというのは、ハイパーインフレになるということだろうが、アベノミクスの大胆な金融緩和には消費者物価で2%という上限がついている。もっと悪いことが起きなかったらどうするのか。

 社会党は、資本主義ではうまくいかない、社会主義にしなければダメだと言い続けて、壊滅状態になった。私は、雇用拡大、ブラック企業・自殺者減少、格差縮小に賛成なので、それに賛同してくれる人たちが減らない方が良いと思っている。リフレの政策の成功で、リベラル派が壊滅状態になるのではないかと、他人事ながら心配である。

 ただし、朝日新聞(2014年8月25日)のアベノミクスを批判した社説では、リフレ政策への批判がなく、アベノミクスは、市場経済重視の姿勢であるかのようで、実は、賃金を上げろ、投資を増やせ、女性を活用しろと、企業が自ら決めるべきことに介入しているからダメだという批判になっている。反市場主義派が、市場主義派の論理を使ってアベノミクスを批判している。私は、市場主義派のエコノミストなので、市場主義派の論理をより広範な人々が使ってくれることは嬉しい。

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