2024年4月20日(土)

中国メディアは何を報じているか

2014年9月9日

 児童の薬服用の問題はそれ以上に深刻だ。2013年の国の医薬品に対するアレルギー反応についてのデータでは、14歳以下の児童が全体の10.6%を占めた。児童の年齢が小さいほど、アレルギー反応も深刻である。南方医薬経済研究所の調査データによると、小児科での薬の服用がちゃんとしていないケースが12~32%にも上り、児童がアレルギー反応を起こしたケースが12.9%あったという。これが新生児では24.4%に上ったという。また薬品を正しく服用しなかったため耳が聞こえなくなるケースも少なからずあり、抗生物質を正しく服用しなかったために聴覚障害になってしまったケースは30万件にも上り、聴覚に障害を持つ児童の30~40%を占めるという。

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【解説】

(上)2億元(30億円超)分の偽バイ アグラを製造していた密造者を摘 発したという記事(2006年) (下)大連の空港で韓国人が2000錠 以上の偽バイアグラを所持して 摘発されたという記事(2008年)
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 日本において中国の食材を巡る安全については冷凍餃子や粉ミルクからはじまり、最近では鶏肉など枚挙にいとまがなく、残留農薬の問題もあって食の安全の問題は度々注目されてきた。中国社会ではあらゆる製品、商品に偽物が出回って、バッタモンというような品質は悪いが、値段が安いので消費者はそれを知りながら購入するという場合も少なくない。

 しかし、食品のような人の口に入る物、特に医薬品のような病人の口に入る物はより重要で医薬品の問題は深刻である。記事で書かれているように年間40万人にも上る「医療事故」による死者数は驚くばかりだが、このうち正しくない医薬品の服用で死亡にいたるケースが多くを占めるということはそれほど知られていないかもしれない。特に医薬品の間違った服用で聴覚障害になる人が年間30万人に上るというのには驚愕する。それゆえこうした市民への注意喚起をキャンペーンとして実施しなければならないのだろう。

 中国では2013年に国家食品薬品監督管理総局を設立させてそれまで分散していた食費や薬品市場への監督機能の強化を図っているがどれだけ効果があるのか、政府の本気度がいかばかりかは不明だ。

 中国社会で偽薬が多く出回っていることは周知の事実だが、特に性機能不全を回復させるバイアグラはその単価が高い事からとりわけ偽薬が多く、監督官庁と偽薬の密造者、密売人とのいたちごっこが続いている。ネットでの商取引が増える今日、こうした偽薬が日本に入ってくる可能性にも注意が必要だろう。

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