中国メディアは何を報じているか

2014年9月12日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

 『人民日報』をはじめ中国の公式メディアは1カ月に一回程度、中国共産党中央政治局会議の開催とそこでの決定事項や確認事項を報じている。このことは同会議が1カ月に一回開かれていることを意味しているとは言い切れない。なぜならば報じられていない同会議があるかもしれないからだ。中国共産党の重要会議の開催は公式メディアだけでは分からないことが多い。しかし、報じられた同会議の後にだいたい開かれている中央政治局集団学習は、公式メディアによってその都度報じられている。そう言い切れるのは集団学習に開催回数が振られているからだ。

政権の課題を先取りできる「集団学習」

 この集団学習で取り上げられるテーマはなかなか興味深い。今年の開催分のテーマは以下のとおりである。

第13回(2月24日)「社会主義核心価値観を育成、大いに発揚させ、中華の伝統的美徳を大いに発揚させる」
第14回(4月25日)「国家安全と社会安定の維持」
第15回(5月26日)「市場の資源配置における決定性作用と政府作用をさらにうまく発揮させること」
第16回(6月30日)「党の大衆路線教育実践活動の展開、作風建設の推進の状況」

 第13回のテーマはイデオロギーに関するもので、社会主義核心価値観は現在メディアなどへの徹底が図られている。第14回は頻発する少数民族による「テロ」や民衆の抗議行動に関するものである。第15回は市場と政府の関係に関するもので、これから本格化する改革の主要イシューである。第16回は地方が積極的に取り組んでいない政治キャンペーンに関するものである。

 このように集団学習で取り上げられるテーマは、共産党が解決に頭を悩ませている問題やこれから取り組もうとする政策と一致しており、総書記が関連の重要講話を行うため、この集団学習は中央政治局メンバーのあいだでの意思統一の場となっている。そのため習近平政権の課題を先取りすることができる集団学習の報道には注目しなければならない。

第17回集団学習の報道の重要性

 8月31日付『人民日報』は、8月29日に第17回集団学習が開かれたこと、そして習近平の発言のポイントを報じた。テーマは「世界の軍事発展の新しい趨勢とわが軍の軍事創新の推進」であり、肖天亮国防大学戦略教研部教授が講師として参加した。習近平が重要講話を行った。

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