田部康喜のTV読本

2014年9月17日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 人は老境に入ったとき、人生の時を顧みて過ぎ去りし時間の意味を考える。もしあの時、別の道を選んでいたとしたら、いまはどうなっているのだろうか。

 青年は過去から続く未来に思いを寄せる。これから自分はどのような人生を歩むのだろうか。

 タイムトラベルのドラマは、そうした人間の運命に思いをはせる時に身を委ねさせる。NHKプレミアム「タイムスパイラル」(9月2日スタート・毎週火曜日、全8回)は、黒木メイサとGACKTが時空を超えて愛し合う、ラブストーリーである。

 原作は水守恵蓮氏の「解ける螺旋(らせん)」。WEB小説サイトの連載が初めてドラマ化されたのが、きっかけとなって単行本となった。WEBのスクロールのなめらかな流れのように、原作の文章の起伏がゆるやかに過ぎながら、時に激しい感情の爆発や愛欲のシーンが間欠泉のように現れる。

誘拐され、助けてくれたのは…

 ドラマは原作の主人公である、相沢奈月(黒木メイサ)と辰巳愁夜(GACKT)に加えて、原作では背景のように描かれている、奈月の母親の相沢良美役に岸本加世子を配して、ストリーに奥行を深めている。北野武監督がヴェネチア映画祭で最高の金獅子賞を獲得した「HANABI」で妻役を務めた。「北野組」の作品の数々に出演している。

 第1回「未来からの告白」と第2回「あなたを覚えてる」を観た。奈月と愁夜のふたりがふたつの人生の時をたどりながら、予想を超えた未来に誘われる瞬間に向かって、序曲を奏でている。それは第3回以降に登場する美少女のバイオリニスト・光田真美(竹富聖花)が絡み合って、ドラマの終章が明らかになっていくのだろう。

 ドラマの冒頭は、2020年7月に開催される東京五輪の開幕式の実況中継の音声が、部屋流れる。「世界中の青空を東京に集めたような青空です」――1964年東京五輪の中継の有名な言葉を使ったオマージュである。

 愁夜(GACKT)が愛犬に「行ってくるよ」と声をかけて、光に包まれてその姿を消す。

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