世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月23日

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 自分たちの提案するミドルパワー連合には中国も米国も含まれていない。それはアメリカが主導する「中国封じ込め」ではない。同時に、「アジアはアジア人のためのもの」という中国の主張にも反対するものである。

 どのようにこの構想を実施にうつすか。まず、オーストラリアとインドの間で戦略的連携を強めることから始める。この2国がミドルパワー連合の中核になればよい。オーストラリアにとっては、米国との同盟以外にアジアとの安全保障の連携を強めることが出来るし、インドのモディ政権は非同盟をそれほど強調しなくなっている、と述べています。

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 ここに書かれた「ミドルパワー連合」の提案が近く現実のものになるとは思えません。ただこの論文に見るべき箇所があるとすれば、それはこのような議論が行われるに至った背景です。一つは、台頭する中国の拡張主義の動きにアジア太平洋の国々が強い懸念を抱いていることであり、二つは、アメリカの対アジア太平洋政策が中国に対し、あまりに妥協的、宥和的に過ぎるのではないかとの不安感です。専門家たちの間でこのような議論が広がりつつあることは意味があると言えます。

 経済発展レベル、政治体制を異にする大小の国々が存在するアジア太平洋・インド洋にまたがる地域で新たな共通項を見出し、実行力の伴う連合体を作り上げることは容易ではありません。数をそろえるだけでは烏合の衆になってしまいます。

 東南アジアという枠内で比較的まとまりの良い連合体であるASEANでさえ、中国への対応においてそれぞれ異なっており、必ずしも一体としての有効な行動力を伴わないことがしばしばあります。

 本論の言うオーストラリアとインドの連携強化というアイディアは興味を引きますが、インドが伝統的な「非同盟」からどのように軌道修正するのか、よくわかりません。

 批判的に見られがちなオバマ政権の「アジア回帰論」ですが、軍事力を見る限り、今日の米国のもつ軍事力に替わり得る国が他にない、というのも厳然たる一つの事実です。

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