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2014年9月25日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

曽慶紅の弟、「虎退治」の優先目標に?

 彼が2年前に出版した自伝『争気』には多くの指導者とのスナップショットが載っている。習近平主席とはないが、曽慶紅元副主席とはある。曽元副主席の弟、曽慶淮氏は芸能界の監督官庁である文化部に大きな影響力を持つ。同部には芸能団体が「政治的に正しいか否か」審査権限があり、テレビや映画の許認可権も有する。曽慶紅氏が江沢民国家主席に仕えた時には中国や香港の芸能プロダクション経営者たちがこぞって曽慶淮氏にすり寄った。73歳になる曽慶淮氏は1995年以降、文化部の香港特派員として香港居住身分証を有し、拠点を築いた。彼は薄熙来や周永康関係者との協力関係が暴露され、「虎退治」の優先目標となっていると伝えられる。彼への疑惑は大陸(中国)の芸能界全体との繋がりを意味する。

 楊受成氏は、曽慶淮氏と親密で2人で裏方として多くの国家級芸術作品の演出をプロデュースした。文化中国伝播社の董平・董事長は最近、周永康事件に巻き込まれ、同社は8月から業務を停止したままだ。財務問題が絡んでいるとの報道もある。また、彼は最近、馬雲氏の阿里巴巴社(アリババ、9月19日にNY証券取引所に株式上場した:筆者)を引き込むことに成功し、62億元分の株式を購入して大株主となった。彼はそれを阿里影業と改名し、株価は一機に4倍以上になった。

 彼は「映画界のゴッドファーザー」と呼ばれ、1996年にビジネスマンから突然、映画会社を興し、曽慶淮氏の援助を得て、1998年にコン・リー(鞏俐)女史演じる「始皇帝暗殺(中国原題は荊軻刺秦王)」に投資した。彼は少なからぬ映画に出資しているが、中でも有名なのは「グリーン・デスティニー(中国原題は臥虎蔵龍)」だ。2003年末に軍が裏に控える保利集団が6120万元を出して華億の半分以上の株式を購入し、保利華億と命名した。董氏は2009年に文化中国伝播社を設立し、楊氏と共同で二つの映画に投資した。一つは「建党偉業」で曽慶淮氏がこの映画の総顧問を担当し、もう一つは周潤発、姜文、葛優という三大スターが共演した「さらば復讐の狼たちよ(中国原題は譲子弾飛)」である。

 チェン氏は知名度を生かし、全国13の省や市で耀莱成龍国際映画城映画館を開業した。このほか、彼はしょっちゅう中央テレビに登場するが、今年(2014年)の春節晩会(日本でいう紅白歌合戦のような旧正月に放送され、風物詩的な出し物中心の文芸テレビ番組:筆者)では、ゲスト出演した。ここのところ中央テレビ局が芸能界において汚職取締りの矛先となっているが、これは周永康の賈暁樺夫人がかつて仕事をしていたこととの関連も指摘される。

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