2024年4月20日(土)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年9月30日

住宅投資の好機 カギは賃金の上昇

 消費税引き上げ後の住宅投資は沈滞している。また、少子高齢化や過疎化の進展などで住宅需給が緩和している地域も多く、基準地価で見ると、全国平均の住宅地価は23年間下がりっぱなしとなっている。一方で、住宅の建築費は建設業界での人手不足や資材価格上昇で上昇しており、来年10月に想定される消費税再引き上げ前の駆け込み需要を除くと住宅投資の大きな盛り上がりは期待しにくい。

 しかし、現在日本の金利は史上最低クラスの水準にある。しかも、デフレがインフレに転じた結果、名目金利から物価上昇率を減じた実質金利は数十年に一度しかないほどのマイナス水準となっている。実質金利のマイナスは、物価上昇率から消費税引き上げ部分を控除しても変わらない。

 住宅投資は金利に敏感であり、大胆な金融緩和が続き、緩やかなインフレとなっている現状は住宅投資が盛り上がる好機でもある。ここに将来にかけての賃金上昇が付け加わるかどうかが、これからの住宅投資の動向を左右する大きな鍵となる。そして、脱デフレが定着すれば、その可能性は十分にある。

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