対談

「みんなと同じ」B級グルメもゆるキャラも限界 「競争しない」社会に向かう地方
地域活性化の現実を見よ(2)木下斉×飯田泰之 (全4回)

柳瀬 徹 (やなせ・とおる)  フリーランス編集者、ライター

1972年伊豆大島生まれ。企画・編集をした本に飯田泰之・雨宮処凛『脱貧困の経済学』、五野井郁夫『「デモ」とは何か―変貌する直接民主主義』、若田部昌澄『もうダマされないための経済学講義』、五十嵐泰正・他『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』など。

対談

(画像:iStock)

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飯田:一方で、人口30万人規模以上の県庁所在地クラスの再活性化であれば、さまざまな戦略、打つべき手がありうるでしょう。難しいのは郡部の機関集落や人口数万~20万人クラスの地方都市の活性化だと思います。

木下さん

木下:大きな問題はそこですよね。最低限必要な都市機能は備えているけど、「全国どこにでもある街」といわれるのもそのクラスで、駅前の写真だけ見せられても見分けがつかない。人口が減っていくといわれている時代に あまたある中堅市街地に身を置くのは、ある意味でもっとも面白味がなく、苦しいことなのかも知れません。

飯田:人口10~20万人というのはおおむね「県庁所在地ではない街」の規模ですが、例として挙げれば日立市、伊勢崎市、甲府市、沼津市、鳥取市、松江市といったあたりが20万人前後です。10万人前後だと花巻市、横手市、酒田市、三条市、飯田市、多治見市、彦根市、丸亀市、糸島市などです。新幹線の駅があったとしても、ひかりやのぞみ、はやぶさは停まらないということが多い。

木下:あくまでも外から来る人にとってはの話ですが、10~20万人規模の街はもっとも仕事としても特徴がなく、生活環境も退屈に映るのだと思います。

飯田さん

飯田:中途半端な都市化が、外から来る人間への魅力を減らしているといえますね。

木下:全国どこにでもあるような街になってしまうと、わざわざそこに行く、そこに住む必要は地元外の人にとってはありませんから。

飯田:「ウチには温泉がある!」という打ち出し方も多いのですが、温泉はだいたい全国どこにでもありますしね。

木下:自然のものに頼るのがいちばんダメですよね。「ウチの海が日本一キレイなんだ!」とか、世界中の海を見てしまったらそんなこと言えなくなるはずなのに。

飯田:東北の三陸沿岸部では1~6万人規模で市になっているところが多いのですが、知人が関わっている広田湾のホタテは本当にうまいんですよ。リアス式海岸特有の栄養分豊富な海水で、他の産地よりもはるかに速く成長するらしく、殻と身の比率がちょっとほかでは見たことがないくらい、とにかく身が大きい。これは大きな売りになる。それなのに、出てくるキャッチコピーは「一番うまい!」とか、そんなものばかりだったりする。「とりあえず地元の大学に頼んで、どんなものでもいいから科学的に『一番』と言える要素を見つけて売り出しましょう」と言いましたけど。

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著者

柳瀬 徹(やなせ・とおる)

フリーランス編集者、ライター

1972年伊豆大島生まれ。企画・編集をした本に飯田泰之・雨宮処凛『脱貧困の経済学』、五野井郁夫『「デモ」とは何か―変貌する直接民主主義』、若田部昌澄『もうダマされないための経済学講義』、五十嵐泰正・他『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』など。

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