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2014年10月3日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

香港の抗議デモを「違法行為」と認定

 10月1日付『人民日報』の4面に、評論員による香港での「セントラル占拠」抗議行動に関する論説「良好な発展の局面を大切にし、香港の繁栄、安定を守る」が掲載された。いよいよ党中央が収拾に乗り出すのではと思わせる論説の発表である。その主な内容は以下のとおりである(http://cpc.people.com.cn/pinglun/n/2014/1001/c78779-25770425.html)。

「『セントラル占拠』は香港社会の基礎を破壊する」
「ごく少数の『セントラル占拠』人士は個人的な利益のため、法律をなき物のように見なしている。彼らは民衆を扇動し、あらゆる業種を妨害し、衝突を形成し、すでに香港民衆の正常な生活を深く妨げており、香港民衆の人身、財産の安全に対してすら脅威となっている。彼らのこのような違法行為は当然法律の責任を負わなければならない。このためわれわれは特別行政区の法に基づく措置を断固支持する」

「『セントラル占拠』の発起人、参加者はできるだけ早くあらゆる違法行為を停止するよう忠告する」

「香港では政府に批判や提言をする道は完全に通じており、いかなる人士ももし全人代常務委員会の決定に対し異なる意見があれば、完全に正当なチャネルを通じて訴えを反映でき、情況を疎通させることができる。『セントラル占拠』という極端な方式に訴えるべきではない。『セントラル占拠』は『疎通』ではなく、対抗である。今のようなごく少数の人士が頑として法治に対抗し、もめ事を起こすことを選択すれば、最後には自業自得で終わる」

 この論説で注目されるのは次の3つの点である。

 第1に、「セントラル占拠」行動を起こしたのは「ごく少数」の人士として、香港の一般民衆と区別している。

 第2に、「セントラル占拠」行動を「違法行為」と位置づけている。1989年の「六・四」天安門事件では学生らの抗議行動は「動乱」と位置づけられた。そのことを思い出してしまう。「動乱」までいかなくとも、「違法行為」と位置づけた意味は重い。

 第3に、香港特別行政区の措置は法に基づいているとして正当性を付与している。

 香港での抗議行動の中心人物を取り締まるための準備が着々と進められているように思われる。

  

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