2024年4月26日(金)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2014年10月17日

実は風上に立っているロシア

 わが社ではロシア貿易の比率が高いため、よくロシアや中央アジアに出張する。ロシアとの取引は(中国取引と違って)一定の馴染みにならないとビジネスがスムーズに進まないことが多い。でも、一旦お友達になると親類の様に深いお付き合いになる。ただし、一般的に日本人にとって、ロシア人は第一印象がブスッとしていて、馴染めないケースが多いように思う。

 今、ロシアと欧米(NATO)の関係は、ウクライナの内乱の影響で悪化している。しかし、ロシアには技術力と資源がある。例えば、チタンの埋蔵量で世界2位のロシアは、航空機部材に使用されるチタンの過半を抑えているので、欧米との関係がさらに悪化すれば、ボーイングとエアバスにチタン供給を止めるかもしれない。また、ロシアの世界最大の非鉄金属会社「ノリリスクニッケル」が出荷を止めれば、ただでさえインドネシアのニッケルが出てこないのに、世界はパニックになる。さらに、欧米の航空会社はシベリア上空の通過が制限されるという情報もある。そうすると、JALとANAの欧州便は乗客が増えるかもしれない。

 いずれにせよ、せっかくプーチン大統領がこの秋に日本訪問が決まっていたのに、予定が流れるとすれば残念だ。米露関係や欧露関係のパイプ役になるくらいの使命感がなければ、日本はアジアのリーダーにはなれないのではないか。プーチン大統領は今も「日露関係は継続的に発展している」といっているし、日露の貿易高が増えていることも挙げて「日露の2国間関係で最も難しい問題の解決のための良い環境ができている」と話している。ロシアは日本にとっても最も近い外国の一つだ。ロシアの方には叱られるかもしれないが、ロシア人との付き合いは、「ボス」と私の関係に少し似ていると常々思っている。継続して交流することこそが必要だ。

  
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◆Wedge2014年10月号より


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