2024年4月17日(水)

サイバー空間の権力論

2014年10月14日

 次に災害現場での観察だ。原発をはじめとして、人が立ち入ることができない場所に偵察機を送り写真を撮影したり、災害現場に救援物資を送ることが求められている。さらにいえば、航空機写真やヘリコプターを使うまでもない作業はドローンで賄うことができる。実は昨年話題となったNHKの朝ドラ「あまちゃん」のオープニングの撮影にもドローンが用いられているのだ(ちなみに、原稿執筆時点で話題となっている香港のデモをドローンで撮影した動画がウェブにアップされており、このような利用法も考えられる http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/02/drone-captures-incredible-footage-of-hong-kong-protest_n_5918282.html)。

IT企業がこぞってドローン事業に参戦

 最後に、今話題となっているのが輸送手段としてのドローンであり、近年この分野が非常に活発になっている。

 米アマゾンは2013年、「Amazon Prime Air」と題したプロジェクトで、注文から30分で商品をドローンによって配送することを目指していると発表した。アマゾンの意気込みは本物で、最近も宇宙工学分野の専門家として、NASAの宇宙飛行士やMicrosoftの研究者等を雇い入れている。米FAA(連邦航空局)はドローン配送に否定的であるが、一部の報道によれば、アマゾンに米国内での飛行試験の許可を出したという。ただでさえスピーディな配達のアマゾンが今度は空から商品を届ける時代が本格的に到来するだろう。

 このアマゾンに対抗するのがグーグルである。グーグルは2014年8月に「Project Wing」と題したプロジェクトを発表し、オーストラリアで行ったテスト動画を公開した。グーグルも商品配達のためのドローン開発ではあるが、アマゾンが30分程度の輸送時間を構想しているのに対し、グーグルは10分以下を構想している。グーグルが具体的にどういった商品輸送を考えているのかは現時点では不明だが、両社ともに異なる角度からドローンを開発しているようだ。

 こうしたプロジェクトの発表の中、2014年9月26日、ドイツの運送大手「DHL」がドローン配達プロジェクト「「Parcelcopter」(パーセルコプター)によって、実験的に配送を開始したと発表した。重量は5kgで最高速度は64km。ヨーロッパで初の飛行許可が下りた背景には、薬品などの緊急医療品を離島に配送するという目的がより公共的であったことや、距離にしてわずか12キロと限定的な輸送空域であったことが挙げられるだろう。


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