2024年4月16日(火)

炎上?感動?ネットで話題のニュース

2014年10月17日

 とはいえ、はあちゅうさんがこの意見を言うに至ったのは、やはりはあちゅうさんのライフスタイルが大きく関わってきているはずだ。彼女は有名人で、日々多くの打ち合わせや会議をこなしている。また、つい最近PR会社「トレンダーズ」から独立したばかりで、まさに余計な飲み会に付き合っている暇はない、という状態なのだと想像する。社交辞令なんて使わずとも打ち合わせは盛り上がるのかもしれない。

タイトルと中身は違ってもいい
尖ったタイトルを付ける理由

 この炎上で注目したいのが記事のタイトル。【「今度飲みに行きましょう」とかいうやつは全員バカか暇人。】と手厳しい。

 17日現在、4,800以上のシェア、1,300以上のリツイートがされ、公開から数日たった今も読者からさまざまな反応があり、燃え続けている状態だ。多くの人が使っているであろう社交辞令を否定され、「バカ」とまで言ったとなると、炎上もしかたないのかもしれない。

 しかし、記事の中身をよく見てみるとこんなことも書かれている。

<そうやって気軽に言う人に限って、仕事も出来ないし時間も守らない。人との約束を軽く見てるから気軽に約束して気軽に破るんだと思います>
<「いつ」を決めてくれるとちゃんとその人の予定の中に、自分が入った安心感があります>

 つまり、「今度飲みに行きましょう」は、「日時を決めない口約束」であるから不安に感じるとはあちゅうさんは考えているのだろう。

 読者からも、「その通り、約束を軽視する人は私も嫌いです」「軽く約束する人は軽く約束を破り、誰からも信頼されていないし仕事も出来ない」という共感もあった。筆者も耳に痛い言葉だ。軽く口に出して相手に期待だけさせておいて、結局実行しないということがよくある。「仕事の教科書」というこの連載のコンセプト通り、社会人の仕事術として学びがあった。

 ウェブの記事はタイトルが勝負と言われることも多い。キレのあるタイトルで読者の目に止まり、クリックを誘わなければ中身が読まれないからだ。その点で、この記事はよくできたタイトルになっている。

 はあちゅうさんの本当に言いたいことは、「バカ」ではない。口約束だからと軽く見ず、期日を決められる人は信頼を得られる人になるという社会人としての心得だ。

 もし、この記事のタイトルが【「今度」などと曖昧に言わずに、ちゃんと期日を設けたほうが信頼を得られます】だったらここまで読まれただろうか。ぼんやりしたタイトルではクリックはされなかったと思う。そして、記事が伝えている「学び」は多くの人に広まらなかった。タイトルは、記事の内容に沿いすぎていても失敗してしまう。記事中の一部分を切り出すことで、キレのあるタイトルになり、読者の関心を獲得する。

 飲み会が好きで、すぐ「飲みに行きましょう」と言ってしまう筆者は、この記事を読んだとき、「それは違う!」と反応してしまった。でも、尖った部分にだけ注目していたのでは、ただ炎を起こす燃料でしかない。タイトルはただの釣り針。中身を冷静に読もうと思う。

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