WEDGE REPORT

2014年10月21日

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行列マーケティングも終焉へ

 今回もう一つ大きな変化があった。恒例となった発売当日にショップに並ぶ行列が、これまでとまるで異質だった点だ。特に異質だったのが銀座や表参道をはじめ全国各地にあるアップル直営店舗で、日本で初めてiPhoneが発売された「iPhone3G」の時を彷彿させるような長蛇の列が現れた。

 しかしその多くが、転売目的の中国人だったのだ。中には転売屋に組織されたと見られるホームレスと思われる集団も散見された。アップルは、キャリアを問わず利用できるSIMロックフリー版iPhoneの取り扱いを、昨年から日本でも開始している。

 今回、中国人が大挙して並んだ理由は、日本でiPhone6が発売された9月19日時点において、中国で新iPhoneが発売されるかどうか決まっていなかったからだ。国外でも利用できるSIMロックフリー版のiPhone6/6Plusは、中国で高く転売できると睨んでの行動だろう。

 ただ行列に平気で割り込みがちな中国人の行動にトラブルが相次いだ。発売当日に製品を求める行列は、これまでマーケティング面でプラスに機能してきたが、今回は負の印象しか与えなかったようだ。

 キャリア版iPhoneについても、各社とも旗艦店で早朝から発売開始記念イベントを開始したが、ドコモの旗艦店であるドコモショップ丸の内、KDDIの旗艦店であるKDDIデザイニングスタジオに集まった行列はわずか数十人程度に過ぎなかった。集まった報道陣からは「報道関係者のほうが、人数が多いのではないか」と揶揄する声が飛んだほどだ。

 もっともこれは各社ともに予約と受け渡しのシステムがスマート化しており、わざわざ発売当日の早朝から店舗に並ばなくても、確実に端末が手に入るようになったからでもある。いずれにせよ、行列マーケティングは今回、あらゆる面で終焉を迎えたといえる。

 iPhone6/6Plusは、目下のところアップルが在庫を潤沢に用意したこともあり、販売台数は過去最高の出足を記録している。ただし機能面を含めた手詰まり感はもはや明白だ。携帯各社のある担当者も「来年も同じような発売開始イベントを開催できるネタがあるのか」と今から悩みを見せる。

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