World Energy Watch

2014年10月22日

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欧州で見限られるFIT

 FITで事業者に有利な買い取り価格が設定され、高収益が保証されると、太陽光発電事業に異業種から参入が相次ぐ。その結果、発電量が増え、家庭と産業に影響を与えるほど電気料金が上昇し、FITの制度を維持することが難しくなることは欧州諸国が経験済みだ。

 スペインでは、電気料金の上昇による支持率低下を恐れた政権が電力会社に買い取り料金を負担させた結果、太陽光設備の大量導入により負担額が増えた電力会社が破産に追い込まれる事態となった。慌てた政府は遡及して買い取りを中止したが、その結果大きな混乱を招き、事業者による訴訟も行われた。

 イタリアでは事業用の太陽光発電設備が政府の予想を大きく超え導入されたため、一時制度の適用を中止し、半年後に事業用の設備導入量に上限を設け、買い取り価格も減額する形で再開することになった。

 ドイツでは、夫婦と子供一人の標準家庭での買い取り額の負担が年間3万円に達するほど電気料金が上昇したために、再生可能エネルギー導入法が改正され、FITが原則廃止され、今後事業用太陽光発電設備からの電気は市場で売却されることになった。また、設備導入量についても目標値が設定されたが、今までの導入量を大幅に下回るものになった。EU委員会も、FITを廃止するドイツ方式を採用するように加盟各国に勧告している。

IRR8%という高収益保証が招いた投資バブル

 バブル期にワンルームマンションへの投資がブームになったことがある。購入不動産を担保に容易に借り入れを行うことができたので、賃貸による収入と借入金の金利負担による節税をうたい文句にし、個人を対象にワンルームへの不動産投資を勧める企業が多く登場した。

 いま、太陽光発電事業も同じような状況になっている。資金さえ用意できれば、何もしなくても太陽光発電事業の組成を行っている企業から案件を買える。接続費用を抑えるために50kW以下に分けられた案件も多くあり、ワンルームマンションへの投資と変わらない。投資家は10年程度での資金回収が保証されている。

 案件を売っている事業会社はどうやって収益を上げているのだろうか。北海道あるいは南九州のように土地が安い場所で事業を行うことにより、IRR8%以上の収益が見込める事業に仕立て、ネットで紹介されている案件を見る限り、10%程度を投資家に渡し、残りを自社の収益にしているのだ。ネットで検索すれば、数多くの案件の紹介を見ることができるが、案件によっては10%以上の収益が保証されている。FITで保証されている8%より、かなり高い利益をあげることが可能な案件が数多くあるということだ。

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