2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2014年10月24日

 一方、シーズン中は健闘してきたソフトバンク投手陣にはほころびが見える。象徴的なのはセットアッパー五十嵐の乱調だ。メジャーで習得したナックルカーブを武器に危なげない投球を続けてきた五十嵐だったが、オリックスとの優勝争いが佳境に入った9月25日の楽天戦で、まさかの5四球4押し出し(1イニングに4つの押し出し四球は60年ぶり、史上5人目のタイ記録だった)。その後の登板での不安定な投球内容から察するに、この時のショックはまだ完全には癒えていないと見る。先述の通り、李大浩と並んでチーム最高年俸4億円を受け取る攝津もシーズン最終登板で3回6失点、CSで2回7失点と絶不調にある今、低空飛行の「鷹」が牙を剥いた「虎」をおとなしくさせられるかは甚だ疑問だ。

 もちろん、昨年がそうであったように、勝負は年俸で決まるわけではない。表には挙げなかったが、ソフトバンクでは飯田優也(育成選手2年目・年俸400万円で契約)、阪神ではルーキーの岩崎優(660万円)と岩貞祐太(1500万円)といった年俸の低い若手投手たちが一軍の先発マウンドを経験しており、彼らが1億円プレーヤーばりの大活躍を見せる可能性も十分にある。逆に、代打起用が予想される阪神の新井貴浩(2億円)などは、数少ないチャンスで存在価値を示したいところだ。

 高給取りが底力を見せつけるのか、それともハングリーな若手が大物を食うのか。大阪と福岡、商人(あきんど)の街で繰り広げられる日本シリーズだけに、そんな“銭勘定”も観戦の楽しみの一つにしてはいかがだろうか。

  
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