週末特集

2014年10月26日

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 日本シリーズがついに開幕した。初戦は、阪神打線がソフトバンクのスタンリッジを打ち崩す形で勝利を収めた。開幕前に、「トラの勢い、タカ封じられるか 日本シリーズきょう開幕」(朝日新聞デジタル)と報じられていたように、ペナントレースを制した巨人をCSで破り勢いに乗る阪神が、パ・リーグの覇者・ソフトバンクを相手にどのような戦いを見せるのか、注目が集まっている。そして、この戦いをビジネスの視点から切り取ると、また違った面白さが感じられるかもしれない。

銭勘定で見る日本シリーズ
今季の年俸総額はソフトバンクが37億5100万円、阪神が31億8500万円。昨季4位に沈んだソフトバンクは王座奪還に向けて次々と大物選手を獲得、年俸総額で約13億円を上積みした。阪神も8億円以上の年俸を加算して今季に臨んでいる。「過去2年の補強選手」というフィルターをかけると、両チームの強化方針の違いが表れてくる。阪神は野手の戦力を厚くし、ソフトバンクは投手を大幅に強化しているのだ。補強戦力がその真価を発揮するのは果たしてどちらのチームなのか?

 * * *

 では、サッカーをビジネスの視点で見るとどうだろう。10月14日に行われたブラジル戦について、時事通信は「むなしさ残る惨敗=日本、見せ場少なく-サッカー・ブラジル戦」と報じている。アギ―レ監督の大胆な選手起用については、ネット上でも賛否が大きく分かれているようだ。W杯での惨敗を踏まえ、日本サッカーはこれから何をしていくべきか。W杯を制したドイツの戦略に、そのヒントを見つけることができるかもしれない。

Bongarts/GETTY IMAGES

屈辱から14年で世界一
ドイツサッカーの経営戦略
代表とトップクラブの一体性

2000年のEURO(欧州選手権)でドイツは世代交代に失敗し、この大会で惨敗。大規模な改革に着手することになった。その特徴は、ドイツサッカー協会とブンデスリーガ、そして各クラブの間で綿密に構築された相互協力体制にある。協会からリーグ、リーグからクラブへの資金の流れを見ると、代表選手を出したクラブ、リーグ成績の良いクラブに傾斜配分されている。つまり、クラブはレベルの高い選手を育てることがトップチームの強化に直結し、収入の増加をもたらすのだ。こうした巧みなシステムによって、自国選手の育成に明確なインセンティブが付与されている。

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 一方、国内に目を向けると、J2を制した湘南ベルマーレの快進撃は記憶に新しい。以下のインタビューからは、勝ちにこだわることはもちろん、魅せるサッカーでファンの心を捉えてきたことが窺える。また、ビッグクラブを標榜する東京ヴェルディの決意も紹介したい。

湘南ベルマーレ
「見ていて面白いサッカーを」
縦の美学にこだわった10年間

サッカーの観客が拍手をして盛り上がるのは、ゴールの瞬間、相手からボールを奪い取る瞬間、そして攻守の切り替えの瞬間、この3つだけなんです。そういう場面をより多くつくることは、エンターテインメントとして当たり前のこと。ドイツのサッカーが良い例です。彼らは相手に合わせたりせず、いつも自分たちのスタイルでやり合っていますよ。だから観客も順調に増えている。(湘南ベルマーレ取締役社長 大倉 智さん)

東京ヴェルディは200億円クラブを目指す
若い選手が順調に育てば、J1に昇格できると思います。昇格すれば5億円ほどの増収に直結しますから、20~30億円は視野に入る。ご批判を覚悟で言えば、将来的には200億円規模のクラブになれると私は確信しています。一番の理由は、私たちが東京のクラブだからです。東京には中小企業が星の数ほどある。ヴェルディが各社の横のつながりを生むハブとなり、数百社の「中小企業連合」にメインスポンサーになってもらう形が考えられます。(東京ヴェルディ1969フットボールクラブ代表取締役社長 羽生英之さん)

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 これらに共通しているのは、ファンを楽しませるためには、「お金」や「時間」がかかるということ。中長期的なビジョンを示したうえで、資金力を高めつつ、目的意識に沿った大胆な資金配分を行っていく。こうした経営戦略が、プロスポーツの発展を支えていくのだろう。

  
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