【開業50周年記念】 My Memories of the 東海道新幹線

2014年10月28日

»著者プロフィール

 テーマパークと関わるにつれ、「日本人の熱心な仕事ぶりに感じ入ることが増えた」と森岡さんはいう。ホグワーツ城の内外装を任された職人も丹念な作業を重ねて、建物をまるで数百年という時を経たかのような風合いに仕上げた。

 「アメリカの職人はインチ(約2.5センチ)の単位で仕事をしますが、日本の仕事はミリ単位。それだけの違いはあります。私はたまたまマーケティングの担当者として人前に出ているだけで、テーマパークを本当に支えているのは、運営や技術にたずさわる人々の仕事にかける情熱です。ハリー・ポッター関連の施設の外観はもちろん西洋風です。でも、その中に満ちているのは、日本人の誇りなんですよ」

森岡さんは日本刀の蒐集を趣味としている

 実は森岡さん自身、日本的なものへの関心が強く、日本刀の蒐集(しゅうしゅう)を趣味にしている。毎夜、数百年前の刀工の作と対峙することで、心の平穏を取り戻すという。

 「日本刀は、鋼を最高の強度にまで鍛錬したうえで、さらに表面に美しい刃文(はもん)をほどこしている。まさに職人魂のなせる技です。歴史の重みが、この手の中にあると感じると、『自分も、もっとがんばろう』と元気が湧いてくるんです」。そして、こう付け加えた。「思えば、新幹線と日本刀って、形が似てますよね。すっとしていて、先が流れるように細まっている。これこそ機能を究めた美しさということなのでしょう」。

 心をともなった技術は、目に見えた美しさをもつ。日本刀、テーマパーク、そして新幹線。無関係なものを並べているようだが、人が誇りをもって仕事をする時、それらはみな同じように輝く。森岡さんは、そのことをみずからの体験を通して知った。

(写真・さとうわたる)

[特集]東海道新幹線開業50周年

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

◆Wedge2014年11月号

 

関連記事

新着記事

»もっと見る