世界の記述

2014年11月4日

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 サウジアラビアなどの湾岸アラブ産油国では石油需要が、年率平均5%以上で増加している。人口増や経済の拡大もさることながら、補助金によりガソリン代や電気代などの国内エネルギー価格が安く抑えられているからだ。困るのは国内石油需要増が、外貨獲得の柱である石油輸出の伸び悩み=歳入の伸び悩みにつながること。

 GCC諸国(湾岸協力会議=サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート)では国民の政治参加が制限されている代わりに、裕福な生活を保証することで政治の安定を保ってきた。だが、その構図が今や根底から崩れかねないわけである。

GCC首脳会議(REUTERS/AFLO)

 背に腹は代えられないとGCC諸国が打ち出したのが、補助金の削減によるエネルギー価格の引き上げの必要性を訴えるキャンペーンや厳格な省エネ策の導入だ。もっとも大胆な提案をしたのがビジネスライクなことで知られるクウェートである。同国のジャーベル・ムバラク・アル・サバーハ首相は2013年10月下旬、「国民すべてが認識せねばならないのは、慣れ親しんできた福祉制度が維持できないという事実」と語り、揺り籠から墓場までの福祉制度を見直す考えを明らかにした。クウェートでは補助金のお蔭で80リットルのガソリン価格は5.2クウェート・ディナール(18.40ドル、1リットル23円)に過ぎないし、電力料金も1kwhで2フィルス(1セント未満、1円未満)に過ぎない。

 2017年3月末までを対象期間とする見直し案では、課税を検討するほか、補助金、各種料金、公共サービス料金の引き上げを計画している。同時に、歳出、特に賃金・補助金・国防費などで構成される経常支出の削減も約束している。クウェート政府は、現在の福祉制度が続いた場合、2021年から財政赤字に転落し、赤字累積額が2035年までに1兆4600億ドル(約150兆円)に累積すると警告している。

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