オトナの教養 週末の一冊

2014年11月7日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

ジャーナリスト

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスク、調査研究本部主任研究員などを経て2017年4月より読売新聞東京本社メディア局編集部次長。『御社の寿命』、『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』、(いずれも中央公論新社)など

 本書を読んで、謎が解けた気がした。2012年のロンドン五輪の開会式の模様のことだ。ポール・マッカートニーが開会式のトリを務めるということで、テレビ中継をじっくりみていた。式典では、英国の歴史の大きな部分を占めるのがロックであり、英国を象徴する文化として位置づけられていた。歴史を追って時代を彩ったグループや歌手が紹介される様子を見た時は、「これはイギリス文化として認定されたという意味なのか」という思いをとらわれたが、全世界が注目するイベントでまさにロックはイギリスの文化であると国をあげて宣言していたのだ。本書を読み進めるにつれて英国という国がロックに影響を与えてきた様子が非常によく理解できる。

アメリカからイギリスへ引き継がれ、
そしてアメリカに逆輸入された「ロック」

『ロックの歴史』(中山康樹、講談社)

 誰が言っていたのか、あるいは書いていたのか全く忘れてしまったが、以前、遭遇した「青春期にどんな音楽を聞いて育ったかで、その人の人生は変わる」という言葉が忘れられない。個人的な体験で恐縮だが、少なくとも自分ではそうだった。

 中学2年生の時、商社マンの息子で、英国から帰国したばかりの友人にビートルズを教えられ、ロックの世界を知った。こつこつお金をためて最初に買ったレコードは『アビーロード』だった。ビートルズの曲は全部聞き、イギリスと英語にあこがれて過ごした。ローリング・ストーンズなど英国のロックバンドの曲も一緒に聞いた。

 その後、新聞社のロンドン特派員になり、在任中にポール・マッカートニーとミック・ジャガーにインタビューする機会に恵まれた。そして、全くの偶然なのだが、ロンドンで住んだ家はアビーロードスタジオのすぐ近くだった。

 もし友人にビートルズを教えてもらわなかったらそもそもロックや英語、イギリスには興味を持っていなかっただろうし、おそらく二人にインタビューをすることもなかったと思う。

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