世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年11月10日

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 米ヘリテージ財団のディーン・チェン研究員が、9月29日付Daily Signalウェブサイト掲載の論説で、「真珠の首飾り」は、これまではもっぱら商業目的の投資であったが、最近、中国が潜水母艦をスリランカに寄港させたことは、「真珠の首飾り」を軍事目的に変化させる予兆かもしれない、と指摘しています。 

 すなわち、長年、インド洋沿岸国の港湾施設への中国の投資の増大は、「真珠の首飾り」として懸念されてきた。これは、インドを包囲し孤立させる努力と捉えられてきたが、実際は、大規模な商業的投資とインフラ整備の計画であった。軍事基地とするには、基地受け入れ国との間のアクセス条約や、施設の強化といった、より大規模で明確な軍事的プレゼンスが必要である。

 「真珠の首飾り」は、インドの安全保障に直接的な脅威をもたらしてはいないが、インド洋地域に対する中国の関心が高まり、かつ、軍事的側面を高めつつある。中印国境での中国の行動がより威圧的になっていることは、それを反映している。

 2013年の4月と6月に、人民解放軍は、インドが支配しているLadakh地方に侵入し、12月にはChumar 地域で、インドの駐屯施設への物資供給を手伝っていたインド人運搬者を逮捕した。2014年9月の習近平訪印直前には、Chumar地域に、再び、中国軍が大隊(約1000人)の規模で侵入し、中国の侵略は、習の訪印に影を投げかけ、約200億ドルの投資を含む12の貿易協定は霞むこととなった。

 「真珠の首飾り」理論にさらに合致していることとしては、インド洋における中国の軍事的プレゼンスの増大がある。陸上の中印国境において緊張が高まっていたちょうどその頃、中国の潜水艦がスリランカのドックに入っていた。これは、インド洋の港に中国の潜水艦が公式にドック入りした最初の事例である。今年初めには、中国初の原潜によるパトロールがインド洋で実施された。こうしたパトロールは、人民解放軍の海軍の作戦領域の大幅な拡大の予兆であろう。

 最も衝撃的であったのは、スリランカに寄港した中国の潜水艦が、燃料、食料、武器等を潜水艦に供給し支援する、潜水母艦を伴っていたという報告である。潜水母艦の展開は、パトロールを顕著に拡大し得る。中国が、より長期的に、インド洋に潜水母艦を展開するとすれば、これは、「真珠の首飾り」をより軍事的な目的に転換する重要な一歩となるであろう。

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