オトナの教養 週末の一冊

2014年11月13日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

 近年、日本の海をとりまく環境が緊張をはらんでいる。最近も東京・小笠原諸島の周辺海域で希少な「宝石サンゴ」を狙った中国漁船の違法操業が急増するなど、日本の海の資源が狙われている。一方、メタンハイドレートが新潟県沖で確認されるなど天然資源にも注目が集まっている。そんな中『日本の海洋資源――なぜ、世界は目をつけるのか』という本が出版された。著者の東京海洋大学・佐々木剛准教授に話を聞いた。

――本書を執筆されたきっかけはどんなことだったのですか。

著者の佐々木剛さん

佐々木:私は水産高校で教える教員を養成する「水産教育学」と、広く市民を対象として水圏(海、川、湖など)に関する知識を持った人材を養成する「水圏環境教育学」が専門です。学生を教える際に加えて、一般向けに水産や海洋資源のことを語ろうとするときに、水産のことがあまりにも知られていないことが常々気になっていました。このため知識の普及が大事だと思いました。そこで考えたのが「リテラシー」(知識、活用能力)ということです。定義があいまいですが、自分自身では「水圏環境リテラシー」という形で、必要最小限の知識と、その知識を活用する力、物事を見抜く力、行動する力、伝える力、そういったものを一つにまとめてその育成を図ろうと思っています。そこには観察、探求、理解、行動判断、伝える、という5つの学習サイクルが必要だと思っています。

 海や水に関するリテラシーはほとんど養成されていないので、そこを強調したいと思っていました。そこで必要な知識として、日本が島国であるとの意識を高め、日本を取り巻く海洋資源の知識をまとめておきたいと考え、本書を執筆しました。海に対する基本的なリテラシーを伝えたいと考えています。

――日本の海を取り巻く状況を広範囲に扱っておられます。

佐々木:水産分野の研究者は知識があり、論文も多く書いていますが、一般の人に伝えるすべがきちんと整えられていません。これは日本だけのことではありませんが、科学者と市民の距離を埋めてゆきたい。これまではなかなかそういう機会もありませんでしたから、こうした本が役立てばよいと思っています。

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