世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年11月12日

 10月6日付の米ワシントン・ポスト紙の社説は、ロシアが経済制裁の緩和を望むなら、すべてのロシア軍と装備をウクライナから撤退させ、ロシアとウクライナの国境を、国際監視のもとに封鎖すべきである、と述べています。

 すなわち、ウクライナ東部では、停戦が合意されて以降も戦闘は続いている。

 ロシアが支援する親ロシア派勢力は、領土を一層拡大している。このロシアの傀儡は、占領地域を「ドネツク共和国」などと呼び、ウクライナ政府の地方選挙の呼びかけを無視し、旧ソ連のような「最高ソビエト」や、ソ連のKGBに似たMGBと称する秘密警察を設置した。

 一方、EU内の多く国は、プーチンがロシア軍を送る様子にないことから、目標である「緊張の段階的縮小」が達成されつつあると安堵している。

 しかし、プーチンは彼の主要な目的のすべてを達成しようとしている。クリミア併合に加えて、ウクライナの人口の10%を抱える戦略的領土を取得し、ウクライナの他の地域を恒常的に不安定化させておく「凍結した紛争」を作り出している。

 プーチンはウクライナのポロシェンコ大統領及びEUを騙し、ウクライナとEUの経済連携協定の実施を延期させた。プーチンは、ウクライナ経済を急激に悪化させた。ロシアが、ウクライナに対するガスの供給を停止するか、ウクライナ製品の購入をやめれば、ウクライナ経済はこの冬さらに悪化するだろう。

 他方でロシア政府は、ロシアの「緊張の段階的縮小」で、EUと米国が9月に強化した経済制裁を解除することを期待している。経済制裁の緩和に重要な発言権を持っているドイツのメルケル首相は、EUは制裁緩和を検討する状況にはないと述べたが、評価に値する。しかし、EUの指導者もオバマ政権も、制裁の緩和のためロシア政府がどのような条件を満たさなければならないかを明確にしていない。

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