2024年4月25日(木)

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2014年11月18日

著作権と個人情報保護の共通点

 雑誌や単行本が作者の手元を離れて市場に出回るまでには、大抵はいくつかのステップを踏むことになる。作者が原稿を執筆する、出版社が編集する、印刷会社が印刷・製本し、取次会社が書店に運ぶ。それぞれのステップで情報漏えいが発生するリスクは生じる。今回の漏えいは「発売4日前」になるので、おそらく商流としては印刷会社か取次会社で流出があったのではないかと思われる。しかし、いずれの企業からも特に謝罪文等は見受けられていないのが現状だ。

 こうしたコンテンツの漏えいに対して謝罪が公表されないのは、個人情報のそれとは扱いが異なるからだろうか。それとも漏えい件数の問題で話題にならないだけなのだろうか。

 同じ「漏えい」という切り口で考えると、ベネッセコーポレーションが個人情報を漏えいさせたことは記憶に新しい。被害件数は3,504万件と多く、いくつものメディアでその管理体制を話題に取り上げることになった。

 対して、今回のワンピースの扉絵の流出は、被害者は「作者1人」と考えるべきなのだろうか。それなら漏えい件数の問題から話題にならないのは無理もないだろう。しかし、漏えいしたことにより、発売を楽しみにしていた読者もまた、自分で扉絵の意図を見つける楽しみを奪われた「被害者」になったと言えるのではないだろうか。

 また、「著作権」の観点からすると製作元である出版社も「被害者」になりえるはずだ。今回の場合は良い方向に働いたかもしれないが、発売前の情報が画像流出したことにより、「雑誌を購入しない人」も出てくるかもしれない。本来売れるはずの雑誌が売れなかったとすれば、作者だけでなく出版社にも大きな影響が生じるのだ。

 そもそも「個人情報保護」と「著作権」は別モノとして考えるべき問題なのかもしれないが、「利害関係を守る目的で作られた法律」であるならば、そのどちらも同じ意味を持つはずではないだろうか。


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