2024年4月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年11月24日

 円安にもかかわらず、何故輸出が伸びないかについては、一例として、以前は輸出を引っ張っていた電気セクターが国内の生産能力を大幅に減らすとともに、輸出の中心である自動車同様、生産拠点を大幅に海外に移転し、国内の供給体制が制約されていることがあります。

 以前のように円安が輸出増をもたらすためには、製造業が設備投資を増やし、生産能力を増やしたり、輸出の新しい担い手が出てきたりする必要があります。これこそが、アベノミクスの第3の矢である構造改革の課題です。他方、円安は輸入物価高をもたらし、給与が増えない限り、実質所得減をもたらすのは当然であり、安倍政権は賃上げを重視しています。

 つまり、アベノミクスには円安のデメリット対策が含まれているのであって、円安のメリットがデメリットを上回るよう、これらの対策が着実に実施されることが期待されます。ただ、円安のデメリットへの対策の中でも、構造的要因に対しては、長期的な対策とならざるを得ません。しかし、LNGや石油の輸入増と円安が相まって物価上昇をもたらしている点は、原発を再稼働すれば回避し得ることです。アベノミクスの成否は、原発の迅速な再稼働が出来るかどうかにもかかっていると言ってよいでしょう。

  
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