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2014年11月27日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

メキシコでの入札撤回で迫られるリスク評価

 前述のような「挑戦」は実際のプロジェクト実施の前に顕在化しうる問題で交渉を通じてある程度の難題は掌握しうるかもしれない。しかし、その先の段階に入ってからもそれぞれの国や事情によってリスクがあることがメキシコで明らかになった。博訊網の論評を引用しよう。

メキシコのペニャ・ニエト大統領は北京での相互接続に関する会議に参加する直前の11月7日、中国企業が3日に獲得した入札結果を白紙撤回すると発表し、再度入札手続きを行うことを表明した。必ずしも中国が再度獲得する可能性が排除されたわけではないが、中国が海外進出する上でのリスクについて全面的に再考する必要に迫られることを意味する。

中国の野心的な動きは世界の注目を浴びる。わずか数年の間に国内の高速鉄道の営業距離は1万1000キロに達しており、これは全世界の高速鉄道の半分の距離に上る。中国が建設を進める速度はどんな国にも及ばない。資金の裏付けにより高速鉄道建設は野心的に進められ、既に30以上の国との各種の協力表明や協定の調印がなされている。

高速鉄道未来図が実現すれば、ユーラシア大陸と南北米大陸が繋がり、グローバルな流通網が整うことになり、陸海の地政学的関係が大きく変わる。中国は鉄道ネットワークの中心に位置するだろう。

コスト度外視で落札獲得を図る?

 しかし、鉄道網整備の前には資金という現実問題が立ちはだかる。この点で『博訊網』評論は慎重だ。

国際的にも中国の高速鉄道計画は野心満々に見える。日・米・欧といった大国は中国の高速鉄道建設に戦略面から警戒感と疑念を持っている。事実、中国は海外において全力で高速鉄道プロジェクトを推し進めようとしており、コストを顧みず引き受けることもある。これは国際社会の憂慮を裏付ける。中国の高速鉄道の背後には戦略的目的があるのではないかという憂慮である。

メキシコの高速鉄道プロジェクトは、メキシコシティとケレタロを結ぶ全長210キロの路線で、契約額は44億ドル(約5000億円)だ。中国鉄建と中国南車の連合体とメキシコ企業4社によって組織された企業連合が落札した。しかし実はこの入札に最後まで参加したのは中国企業だけだった。メキシコ側が求める工期は短く(2014年12月に着工し、2017年に開業)、や提示価格も西側企業の建造コストよりも低かった。入札受付がわずか2カ月という短さもあり、西側企業は期間内に建設計画を提示できなかった。

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