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2014年12月5日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

2013年度について審計署の発表では2013年6月末までに全国各級政府の負債(中央に返済義務を持つものと思われる)は20億7000万元(約300億円)だったが、2012年末までで使用権譲渡の収入によって返還を約束していた債務残高は3億5000万元(約50億円)と全体の16.9%を占めた。2004年以降、中国全土では国有地使用権譲渡による収入が急増を続けているが、国土資源部の統計では2004年の使用権譲渡収入は5894億元(約8兆円)だったのが、2013年には4兆1000億元(約66兆円)と急増した。この土地使用権譲渡収入では中央ではなく地方が95%を占めた。

使用権譲渡の支払引き延ばしはしばしば発生している。例えば今年8月以降、日照市では2010年、2011年に使用権譲渡の徴収状況についての調査を行った際に24社の企業が7億元余りの支払いを引き延ばしていたことが分かり、3807万元を徴収した。

国土資源部と審計署による監督や監査の報告によれば使用権譲渡の収支管理で多くの規範化されていない問題が存在している。例えば2011年に行われた年間恒例の査察では51の都市での989項目の使用権譲渡で303億6500万元(約3800億円)の収入が徴収不足で、そのほかに少なからずの土地で規定に則らない支出も見られた。地方政府が企業誘致をする際に土地を無償だったり、格安の値段での土地供与を行って少なからぬ国有地が喪失してしまった。また深刻なのは使用権譲渡の収支管理が不透明で汚職が頻発していることだ。ある統計では今年行われた監視団による3ラウンドの巡視で21の省のうち20の省で土地不動産を巡る汚職が発見されたという。

 現在、地方財政はますます土地に依存するようになっており、各レベルの地方政府の負債はみな「土地財政」と結びついているという。実際に「地方財政のジレンマの形成は制度的要素にある」とも指摘され、楼継偉財務相は喫緊の課題は地方の財政難を緩和させることで合理的で整った地方税体系を構築することだと強調している。しかしこのようなずさんな資金管理ではそれもままならない。そもそも土地以外で収入を生み出すような産業育成がうまくいっていないのだ。

土地バブル、ゴーストタウン問題の元凶

 中国経済の急成長を作りだし、その結果土地バブル経済を引き起こしたカラクリの一端が垣間見えただろう。すなわち中国は「世界の工場」として多くの生産業、工業が発展に伴い多くの外資を誘致したことが成長に繋がったことは言うまでもないが、そのような発展だけでなく、国有地の使用権譲渡による現金収入の急増という「打ち出の小槌」も中国の高度成長の大きな要因であったことが分かるだろう。

 地方の各政府が勝手に自分の行政区域内の国有地を地元企業などに売却し、その資金を都市計画やインフラ建設の財源に充てられた。そして政府の財政収入そのものとして頼られるようになっていった。地方自治体が国有地を売却したり、土地ころがしを行って財政収入に充てる事など日本では考え難いことだろう。

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