「呟く市長」は何を変えようとしているのか

2014年12月10日

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――大変な抵抗を覚悟されての財政改革が、それでも受け入れられた要因はどこにあったのでしょうか?

熊谷:ひとつは誰の目にも明らかに、わかりやすいくらいに財政が厳しかったことです。その時点ではギリシャの財政破綻はまだ起こっていませんでしたが、国際的にも財政再建の機運が高く、世論がそちらに傾いていたことも追い風になったと思います。私自身の努力以上に、世論の高まりが大きな力になりました。

※早期健全化団体の基準のひとつは実質公債費比率(収入に対する負債返済の割合)が25%を超えることであり、千葉市の場合は2010年時点で21.4%。18%以上で地方債の発行に国の許可が必要となるが、2013年時点でも18.4%であったため、翌年度の市債発行にあたり「公債費負担適正化計画」を総務大臣に提出している。

熊谷:職員に理解してもらうのも大変でした。連日、ゴリゴリと議論することでようやく理解してもらえましたし、ズレがどこにあるのかを知ることもできました。

 例えば水道局の職員は、水道普及率を100%にすることこそが自分たちの仕事だと信じて疑いません(※2012年3月31日現在で97.2%)。住んでいる人たちの年齢を考えると10~20年後には誰もいなくなってしまうかも知れない場所であっても、何十億円もかけて水道を延伸しようとしてしまう。そこに疑問をぶつけると「えっ?」「そんなことは初めて言われました」となるんですね。過大なコストをかけて100%にしなくても代替案はあるのではないか、そんなことを言われた経験がないんです。

 思考の転換は大変でした。最終的には職員の皆さんもついてきてくれて、とても感謝しています。

――民主党政権が行った事業仕分け(09年11月)は新政権の大きな目玉となりましたが、千葉市はそれに先行して市民参加型事業仕分けを行いました。見直しの対象となる事業を公表し、市民の意見も取り入れるという点で、政府の事業仕分けよりもさらに透明性の高い方法といえます。このようなアイデアも当初からお持ちだったのでしょうか?

熊谷:就任以前からあったアイデアです。やるしかないだろうと思っていました。事業やサービスの受益者がいる以上、いろいろな不満が出てくることになるでしょうが、どういう議論が重ねられ、自分の考え方とは違う理屈により判断されるのか、その経過は見てもらったほうがいいと考えていました。仕分け会議は傍聴も可能で、できる限り傍聴者の発言のための時間もとりました。

 これは必要不可欠なプロセスだったと思います。コンセンサスの過程であると同時に、もはや右肩上がりの時代ではなくなってしまったんだという、市民へのメッセージでもありました。言ってみればショック療法の一面もあったわけです。

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