【緊急特集】エボラ出血熱

2014年12月15日

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村中璃子 (むらなか・りこ)

医師・ジャーナリスト

医師・ジャーナリスト。東京都出身。一橋大学社会学部・大学院卒、社会学修士。その後、北海道大学医学部卒。WHO(世界保健機関)の新興・再興感染症対策チーム等を経て、医療・科学ものを中心に執筆中。京都大学大学院医学研究科非常勤講師も務める。

(c)Stocktrek Images

 アメリカもアビガンのエボラ出血熱への効果を検証する臨床治験を始める。フランスが国境なき医師団(MSF)を通じて実施する治験だけに世界の注目が集まっているが、アメリカも国防総省から莫大な資金をつぎ込んでアビガンの治験をするのだ。この事実は驚くほど、国内外のメディアに知られていない。

 米国防総省がウェブサイトの「契約」の項にて2014年11月17日付で公開している内容によれば、米企業メディベクターは、経費とインセンティブとして3000万ドルを、そして15年予算として研究、開発、検証のための790万ドルを「追加助成」として受けた。米マサチューセッツ州とアフリカで、アビガンのエボラへのフェーズ2試験を開始する予定である。

 同じく米国防総省のウェブサイトによれば、米疾病予防センター(CDC)も国防総省から助成を受けてシエラレオネにラボを建設し、マリに評価チームを送っているから、アフリカでの治験はこのどちらかの国、恐らくはラボのあるシエラレオネで行われるのだろう。マサチューセッツ州はメディベクターの本拠地である。

2012年には1億3850億ドル

 さかのぼること2012年、米国防総省は、フィールドにいる軍人を自然あるいは人工的に作られた微生物の脅威から守ることを目的として設置した「革新的医療技術獲得プログラム(TMT)」の中で、新型インフルエンザ治療薬のプログラム(TMT-Flu)をスタートさせた。メディベクターはこのプログラムに申請して、見事これを獲得。国防省よりすでに1億3850万ドルという巨額の助成金を支給されている。

 国防総省を通じてアビガンに対して投入されるアメリカ人の税金は、今回の追加助成と合わせると総額1億7640億ドル。これは、日本における医薬品一品目の平均開発コストを越える膨大な金額である。

 巨額助成をうけ「米国防総省にも期待されている」との情報は、アビガンにとっても何かと追い風のはず。富士フイルムは、なぜアメリカ主導の治験について積極的に公表していないのだろうか。取材に対し、後日、「内容を協議中であるため」と回答をしてきたが、筆者には富士フイルムの説明の中でどうしても引っかかる言葉があった。

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