中国の経済力を正しく評価せよ


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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ジョセフ・ナイ米ハーバード大学教授が、11月6日付のProject Syndicateのサイトで、中国はGDPで米国を抜くと言われるが、一人当たりGDP、サービス貿易、金融市場などで米国にはるかに遅れている上に、格差の増大、環境の悪化など多くの深刻な問題を抱えている、と述べています。

 すなわち、世界銀行は最近、購買力平価で算出すると、中国経済は本年中に米国経済を追い抜くと発表したが、これは世界における中国経済の立ち位置を正しく伝えるものではない。

 例えば経済の高度化をより正確に示す一人当たりのGDPで見ると、中国は米国の20%に過ぎない。中国は輸出大国であるが、低付加価値の商品が多く、またサービス貿易は精彩を欠き、真に強力な貿易国とは言えない。

 金融市場もまた中国の経済の高度化の遅れを示している。市場規模は米国の8分の1で、外国人は中国の債権のごく一部しか買えない。世界貿易に占める人民元での取引の割合は、米ドルの81%に対して、わずか9%である。

 技術の面でも中国は自前の発明より、外国の発明の模倣に頼っている。

 中国はいつまでも輸入技術と安価な労働力に頼れず、今後中国の成長率は鈍化するであろう。

 以上のような統計上の比較の他に、中国が今後対処しなければならない深刻な問題がある。格差の増大、国営企業の問題、環境の悪化、不十分な社会的セーフティネット、腐敗、法の支配の弱さなどである。そのうえ高齢化の問題、民主主義とはいかないまでも、政治参加への要求の増大などがある。

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